県議会H24年度の月定例会報告

平成24年2月県議会定例会にて質問しました。
皆様に森正明がどのような職務をしているのかを知って頂きたいと思いますので、
一部抜粋ではありますが掲載させて頂きます。

[平成24年第1固定例会2月16日 森正明議員(会派自民党) 本会議代表質問]

 自民党県議団を代表して質問いたします。
 質問に先立ち、一言申し上げます。
 我が団所属の田島信二議員が1月7日に ご逝去されました。謹んで哀悼の意を表しますとともに、心からご冥福をお祈り申し上げます。
 さて、欧州での債務危機が予断を許さない状況にあって、地域経済回復の遅れが心配される中、先月、厳しい財政状況を受けて、緊急財政対策本部が設置されました。我々議会も危機打開に向けて、共に協力しながらしっかりと職責を果たしていく所存であります。

 それでは、質問に入ります。しばらくの間、ご清聴のほどよろしくお願いいたします。
 質問の第1は「知事の政治姿勢について」、5点、お聞きします。
 はじめに「東日本大震災について」、2点、伺います。
 未曾有の国難となった「東日本大震災」は、千年に一度といわれる大地震であり、巨大津波、そして原発事故による放射能漏れという複合災害であったことから、未だに多くの被災者が不自由な暮らしを強いられています。
 しかしながら、政府は、大震災から1年になろうとする現在、ようやく「復興庁」を設置したものの、一連の対応の遅さは唖然とするばかりで、復興の“兆し”さえ見えてこないのが実態であります。
 このような中、復旧を阻む大きな要因のひとつである「震災がれきの広域処理」が遅々として進んでいません。先月末、近隣都県議会議長及び本県議会議長が、宮城の県議会議長から震災がれきの処分・受入れの協力・支援について、要請を受けました。
 復旧すらままならない被災地の「がれき処分」に協力するという日本人の絆と責務、一方で、将来の世代に不安を残したくないという地域住民の、双方の理解を得るためには、国に対し、放射能の影響がないという、県民が納得できる根拠を早急に示すよう強く要請すべきと考えます。
 そして、先行して処分に協力している東京都などとも連携をとり、関係住民が納得できる安全性を確保することが肝要です。先の提案説明においても「震災がれき」受入れに対する知事の強い決意が述べられましたが、我々議会も知事の思いを十分理解し、協力は惜しまないつもりであります。
 そこで、知事に伺います。
 震災がれきの受け入れ、処分に関して、これまでの「対話の広場」などでの意見も踏まえ、今後の取組みについて、知事に伺います。

>> 答弁要旨
 私は、年明け早々、宮古市を訪れて、被災地の状況を確認してきました。そこで、原子炉等規制法で汚染されていないとする、1キログラム当たり100ベクレル以下のがれきを確認し、これならば引き受けられると確信しました。そこで、早速、本年1月の地元説明会と、2度のf対話の広場」で、震災がれきの受入について、丁寧に、繰り返し説明しましたが、残念ながら冷静な議論とならず、理解を得るには至りませんでした。
 対話の広場等では、県民の皆様から、放射能の安全性に対する疑問や、震災がれきは国が責任を持って処理すべきなど、様々な御意見をいただきました。
 そこで、こうした御意見を踏まえ、1月25日に環境大臣と会談した際、安全性について、より明確な科学的根拠を示していただきたいとお願いしたところであります。さらに、東日本大震災で生じた震災がれきについて、一般廃棄物・産業廃棄物の区分をなくし、災害廃棄物として法的に位置づけ、国の責任で広域処理を行う法的枠組みを定めるよう、新たな特別措置法の制定を、国に対して、要望することとしました。
 対話の広場の中で、様々な御意見がありました。しかし、東北の復興を支援したい、その気持ちは、県民の皆様の気持ちは私と全く閉じでありました。復興を支援する方法は色々あるだろう、確かにそのとおりだと私も思いました。
 そんな中で、震災がれきを何とかして片付けるのを助けて欲しい、その被災地の生の声を受けた以上、何とかして、これを本県として協力できないのかと。私も悩みに悩みましたが、苦渋の決断であります。
 今後、-関係する機関と連携いたしまして、さらに知恵を絞り、県民の皆様に理解をいただけるよう、改めてしっかりと説明を行ってまいります。

◇要望
 東日本大震災に伴うがれきの受け入れについてでございます。知事の、熱い、心のこもった強い決意を聞きました。我々議会も、被災地のがれきについては、その現状を十分に認識することを含めて、また、改めて、被災地への支援の必要性を再確認したところでございます。加えまして、本県においては、いつ来るかわからない大きな地震、このことについては、まったく他人事ではございません。このことを考えますと、がれきの受け入れ支援については、県全体として、合意がなされるようしっかりと取り組まれるよう要望いたします。

 次に、「東京電力の電気料金・値上げについて」、伺います。
 東京電力は、原発が停止したことに伴い、火力発電所の燃料費が大幅に増加したとして、4月から企業や官公庁向けの電気料金を平均17%も値上げすると発表しました。特に「値上げは電力会社の権利」とした東京電力の社長のコメントに多くの事業者等が怒りの声を上げています。
 電気料金の値上げの発表は唐突であり、地域経済への大きな影響も懸念もされるところであります。そもそも、17%もの値上げの根拠も明確に示されておらず、さらには、東京電力自身が資産売却等の企業努力を十分行っていないことが極めて問題であります。
 そこで、知事に伺います。
 知事も東京電力に対し、「もっと身を切るべき」として、国や東京電力に、首都圏の首長らとともに要請活動を行っていることは報道等で承知していますが、この本会議の場で、本県への影響を含め、今回の東京電力の対応について、改めて知事の基本的認識について伺います。
 また、この値上げが県という事業者に及ぼす影響について、どのように試算しているのか、併せて伺います。
>> 知事答弁
 次に、東京電力の電気料金値上げについて、お尋ねがございました。今回の東京電力の唐突な対応は、厳しい経済環境の中で、日々経営努力を続けている製造業や観光業など県内産業に重大な影響を与えるものであります。そして、これまでの福島の原子力発電所事故による代償を県民や企業に転嫁するものでありますので、私としては、容認できるものではありません。こうした意思を明確にするため、本県では、去る2月9日、神奈川県市長会及び町村会とともに、東京電力に対し、値上げ反対の要請を行い、さらに、九都県市首脳会議や関東地方知事会においても、それぞれ国や東京電力に対して同様の要請を行ったところであります。
 まずは東京電力は、値上げありきではなく、自らが県民や企業の理解を得られるよう
な大胆な経営合理化と責任を果たすことが先決であります。県としては、今後の対応を注視するとともに、関係団体とも連携しながら、東京電力が一方的に値上げに踏み切ることがないよう、粘り強く要請してまいります。
 また、電気料金値上げによる県の機関・施設への影響ですが、東京電力から通知があった値上げ額をもとに試算いたしますと、合計で約10億円に及び、来年度の予算執行にも大きな影響を及ぼすものと懸念しているところであります。

 次に、「新たな総合計画について」、伺います。
 今定例会に新たな総合計画が提案されました。この総合計画は、県民に示す重要な計画であり、国難ともいうべき時期であるからこそ、なおさら新しく策定すべきという我が会派の提言を受け入れ提案されたものと承知しております。
 財源不足が見込まれる極めて厳しい財政状況の中で、去る1月24日には「神奈川県緊急財政対策本部」が設置され、全庁を挙げて緊急的な財政対策に取り組んでいくことが表明されたところですが、新たな総合計画、すなわち「かながわグランドデザイン」を現実味のある計画として推進していくためには、しっかりとした財政見通しを立てることが重要であります。
 そこで、知事に伺います。
 今回、議案として提案された「かながわグランドデザイン 基本構想」や、同時に示された「実施計画」について、県民と共有すべき課題認識と取組の方向をどのように盛り込み、具体化していこうと考えているのか伺います。
 また、この総合計画に位置づけられた様々な施策・事業の実施にあたり、財政の中期的な見通しの策定について、どのように考えているのか、併せて伺います。
>> 答弁要旨
 次に、新たな総合計画についてお尋ねがありました。最初に課題認識と取組みの方向についてであります。「かながわグランドデザイン」は、基本理念で掲げた「いのち輝くマグネット神奈川」の実現に向けて、どのような取組みを進めていくのかを明らかにした、県民の皆さんへのメッセージであり、私のマニフェストとも言うべきものであります。
 この新たな総合計画の策定にあたりましては、原子力に過度に依存しないエネルギー体系を早急に構築しなければならないこと、大規模災害から県民のいのちを守ること、超高齢化の波が圧倒的な勢いで到来すること、県経済の活性化を図らなければならないこと、さらには、これらを財政が厳しい中で、いかに実現していくのかが大きな課題であります。このため、実施計画のプロジェクト編では、先進性や発展性を持った取組みを27本のプロジェクトにまとめ、その中で全国の先駆けとなる「神奈川モデル」を盛り込み、課題への対応を図ることといたしました。具体的には、かながわスマートエネルギー構想の推進をはじめ、高齢化の進展や救急息者の増加など、様々な医療課題に対応するf医療のグランドデザイン」の策定、横浜・鎌倉・箱根に次ぐ「新たな観光の核づくり」、「水のさとかながわ」づくりなどに、スピード感を持って全力で取り組んでまいります。
 そして、計画に掲げた取組みの具体化にあたっては、民間資金を大胆に取り入れることも含め、神奈川の総力を結集して取り組むとともに、庁内にあっては、部局横断的なクロスファンクションの徹底を図り、一丸となって知恵を出し合いながら着実に成果を出してまいります。
 次に、財政の中期的な見通しについてであります。
 厳しい財政状況の中、総合計画に位置づけられた様々な施策・事業を実施していくためには、議員お話しのとおり、計画期間である3年間の財政見通しをしっかりと立てることが重要であると認識しております。
 そこで、平成24年度当初予算案の編成結果を踏まえ、一定の条件の下で収支を推計する中期財政見通しの作成に、現在取り組んでいるところであります。この推計にあたっては、地方消費税の扱いなど、不透明な要素もありますが、プロジェクト事業費も含めて、今定例会中にお示ししたいと考えております。

 次に、「行政改革について」、3点、お聞きします。
 はじめに、「新たな行政改革の指針について」、伺います。
 先のわが会派の代表質問では、これまで県が進めてきた行政改革のうち、課の小分け化等の組織改革などの課題について指摘しました。その指摘を踏まえ「本庁機関の見直し」として「副局長、副課長及び課長代理職の設置」などが示されたことは評価するものであります。また「局」のあり方についても検討するとしています。
 県民ニーズが複雑化・高度化し、対応を求められる課題が増える中で、数値目標の達成そのものが目的化しているような改革では、「県の総合力・組織力向上」の掛け声とは裏腹に、課題解決力が低下してしまう懸念があります。
 これから、新たな時代を切り開いていく上で重要なことは、先頭に立って汗をかく県の組織力・実行力を高めることです。その礎となるのは、やはり「人」であります。知事が言われるように、全職員が「公務員魂」を発揮すること、そして発揮できる環境をつくることが大切であり、それこそが新たな行政改革に求められる視点と考えます。
 そこで、知事に伺います。
 「新たな行政改革の指針」の中では、県の組織や人をどのように活かしていこうとするのか、そうした観点も含めて、指針に込めた知事の「思い」を伺います。
>> 答弁要旨
 次に、「新たな行政改革の指針」について、お尋ねがありました。私が「新たな行政改革の指針」に込めた思いは、大きく2つあります。一つは、組織や人のあり方についての思いであります。本県では、平成9年度からの行政システム改革の中で、業務プロセスの見直しゃ庶務事務のアウトソーシングなどを進め、知事部局の職員数を約13,500人から約7,600人へと約6,000人の削減を行ってきました。
 今後は、職員一人ひとりのやる気を引き出し、しなやかで筋肉質で課題解決に向けて真つ直ぐ進むような県庁をつくり、マグネットカあふれる取組みを進めてまいります。もう一つは、仕事の進め方についての思いであります。これまで県が施策や事業を展開していく際には、そのプロセスを大事にするあまり、結果を出すまでに時聞がかかることがありました。しかし、私は、政策決定・実行にあたり、スピード感を重視し、結果にこだわっていきたいと考えております。複雑・多様化する課題に向き合い、着実に成果を上げていくためには、「クロス・ファンクション」いわば部局横断的な取組みを実践していくことが大切であります。今後は、局や部の枠を越えて連携・協力することで課題解決力を高め、「いのち輝くマグネット神奈川」の実現に努めてまいります。
(再質問)
 現在は局制度を採っておりますけれども、この形になって10年以上となり、局のあり方について検討するとのことでした。その際には、より県民にわかりやすくという視点での対応が大切であります。現在の局について、再編統合、あるいは細分化を検討すべきと考えますけれども、いかがでしょうか。
>> 答弁要旨
 現在の局につきまして、平成22年度の本庁組織の見直しにおいて、これまでの部をそのまま引き継いでおりまして、局の所管事務が、現在の形になってから10年以上経過しております。時代の変化などに対応できているか、県民ニーズにマッチしているかどうか、検証を行っていきたいと思っております。特に、私が掲げます『いのち輝くマグネット神奈川』の実現に向けて、重点的に取り組む施策を、着実、かっ、スピード感を持って推進することができる体制であるかということを重視し、適正な局の規模など、まさに県民にとってわかりやすい組織執行体制を目指して、議会の皆さんや職員の意見も聞きながら、しっかりと検討していきたいと思っているところであります。
(要望)
 先ほどもお話しをさせていただきましたけれども、県民にわかりやすくという観点で言えば、例えば、ネーミングの問題もそうですけども、現在の企業庁というのがございますが、我々は議会人として企業庁と聞けばわかるわけですけれども、一般県民にしますと、なかなかわかりづらいんじゃないかというのが私の考えであります。
 例えば、水・エネルギー局とか「あっ水とエネルギーだな」ということがわかると思うんですね、そういう意味では、ひとつの改革の中でネーミングの部分もぜひ取り入れていただければ、検討してい.ただければというふうに思っております。これまで時代の要請にしたがって、保健福祉局など肥大化をした局もありますので、人口減少社会を迎える今後の時代のニーズを見据えながら、組織を再編していくという視点でぜひ検討を進められるよう、要望しておきます。

 次に、「拉致問題に関する姿勢について」、伺います。
 拉致問題の解決は、その家族のみならず、日本国民全ての悲願です。
 昨年12月、北朝鮮のキム総書記が死亡し、拉致被害者の家族からは、膠着状態に陥っていた拉致問題に進展があるのではないかという期待と、指導者の交代による混乱で拉致被害者に危害が及ぶのではないかという不安や懸念の声が寄せられています。
 小泉元総理などの努力により5人の帰国が実現したものの、横田めぐみさんをはじめ未だ多くの方の帰国が実現しないまま、長い年月が経過しており、ご家族も高齢化され、一刻も早い解決が望まれます。
 そこで、知事に伺います。
 北朝鮮拉致問題の担当ポストを、この時期に設けた知事の思いを伺います。
 さらに、拉致問題・文化振興担当理事に「就任の決意」を伺います。
>> 答弁要旨
 次に、控致問題についてお尋ねがありました。技致問題は、重大な人権侵害であって、許すことのできない国家犯罪であると認識しております。知事就任以来、この問題が決して風化することのないよう、新たに映画「めぐみー引き裂かれた家族の30年」の上映会を県内各地で実施したり、国や政令市とともに川崎市で国民大集会を開催するなど、県民世論の喚起に積極的に取り組んでまいりました。
 昨年12月に、金正日総書記の死去にともない、北朝鮮の指導者が代わり、混乱が懸念される一方で、鯵着状態が続いている位致問題の解決に、大きな転機が訪れるのではないかという国民の期待も高まっています。そこで、県としても、スピード感を持って、この事態に対応するために、専任の担当理事を置くことといたしました。
 今後は、理事を中心として、まずは、県内の市町村、関係団体などとも、より密接に連携を図り、地域の実状に即した、きめ細やかな方法で控致問題の理解促進に取り組んでまいります。
 併せて、国の技致問題対策本部や他の都道府県とも連携のパイプをより太くし、情報の共有化を図るとともに、県内在住の横田ご夫妻とお気持ちをあわせ、サポートしてまいりたいと考えております。控致問題の解決は急務です。県としてできることに、私と理事とが先頭となって取り組み、何とか解決の糸口を探ってまいりたいと考えています。

 次に、「市町村・自治基盤強化・総合補助金について」、伺います。
 昨年8月にいわゆる第2次一括法が成立し、来年度から多くの事務が市町村に移譲されることとなるなど、住民に最も身近な基礎自治体である市町村の役割はますます重要性を増しており、「自らの地域のことは自らの意思で決定できる」仕組みを構築していくことは大変重要であります。
 一方、現下の経済状況や社会保障関係経費の増大等により、県と同様、市町村も大変厳しい財政状況にあり、少子高齢化の更なる進展や本格的な人口減少時代の到来に鑑みると、今後も更に厳しい状況が続いていくことが容易に想定され、これまで以上に、効率的な事務の執行や専門的な課題に対応できる体制づくりが求められると考えます。
 このような中、市町村の公共施設・整備事業等を支援してきた「市町村振興メニュー事業補助金」の抜本的な見直しを行い、新年度予算案において、新たに市町村・自治基盤強化・総合補助金の創設が提案されています。
 そこで、知事に伺います。
 先に述べたような課題がある中、県として、どのような方向で見直しを行ったのか。また、この見直しによりどのような効果が見込まれると考えているのか、伺います。
>> 答弁要旨
 次に、「市町村自治基盤強化総合補助金」についてお尋ねがありました。
「自らの地域のことは、自らの意思で決定」する、という地域主権型社会の実現のためには、住民に最も身近な基礎自治体である市町村が、行政機能や財政基盤を強化していくことが求められています。市町村に期待される役割が増大する中、それぞれの市町村がすべての事務を単独で行うより、必要に応じ、複数の市町村で事務を共同処理していくことが効率的と考えられます。そこで、県といたしましては、従来の「市町村振興メニュー事業補助金」 を見直し、「市町村自治基盤強化総合補助金」を創設し、個別市町村への支援から、市町村の広域連携の取組みへ、支援をシフトすることといたしました。
 また、市町村が独自に提案する先進的なモデル事業を重点的に支援するなどの取組みを加えることで、今後は、メリハリのある財政的支援を行ってまいります。
 次に、今回の見直しによる効果についてであります。市町村が広域連携を推進し、限られた予算や人員を集中的に投入することにより、効率的な行政運営や専門的な職員配置が可能となります。また、市町村聞の競争により、その創意工夫を引き出すことによって、魅力あるまちづくりの促進につながるものと考えております。

 次に、「エネルギー施策について」、2点、お聞きします。
 はじめに、「かながわソーラープロジェクト」の推進について伺います。
 知事就任直後は選挙公約と現実とのはざまで県民に誤解を与えかねない部分もあり、曲折を経た経緯はあるものの、この10ヶ月スピード感を持って、様々な取組が進められてきたものと理解しております。
 ソーラープロジェクトは、住宅への設置、公共施設や事業所等への設置、そしてメガソーラーの誘致という3つの分野で推進方策が検討され、具体的取組も開始され、推進方策が概ね出揃ったと受け止めており、今後はいかに実績に結び付けていくかが問われていると考えます。
 そこで現状を見ますと、住宅用・太陽光発電・導入促進・事業費補助については、財政状況が厳しい中で市町村の補助金の予算額は、来年度も本年度と同程度と聞いており、設置件数の大幅な増加につながるのか懸念されます。
 また、12月からスタートした「かながわソーラーバンクシステム」についても、これまでの県民からの申込み件数は、当初の想定を大幅に下回っていると聞いており、県民や事業者等の意見を踏まえて、さらに改善に努めていく必要があります。
 そこで、知事に伺います。
 ソーラープロジェクトについては、推進方策がほぼ固まってきた中で、今後はそうした方策をより効果的に推進することにより、着実に実績につなげていくことが重要と考えますが、どのように取組を継続していくのか見解をお聞きします。

>> 答弁要旨
 次に、「かながわソーラープロジェクト」の今後の取組についてでありますが、本年7月に「再生可能エネルギ一法」が全面的に施行されますので、住宅、公共・民間施設、メガソーラーの3つの分野で取組を強化してまいります。まず、戸建住宅への補助金広関しては、来年度は2万4千戸分の予算を措置し、引き続き支援を行ってまいります。
 また、自己負担ゼロを目指す「ソーラーパンクシステム」 への見積申込は、1月末で300件を超えた状況であり、今後は、設置プランの追加や見直しを行い、申込件数の増加を図るとともに、既に10年間の余剰電力買取で自己負担ゼロが見込めるプランもあること、これを積極的にPRしてまいります。次に、公共施設や工場・商業施設等の大型施設については全量買取が適用されますので、自主的な設置を促進するとともに、市民ファンドを活用した「屋根貸し」方式による設置に取り組んでまいります。さらに、メガソーラーについては、愛川町にモデル事業として県自ら設置するとともに、県内12か所の候補地に対して、設置を希望する民間事業者を公募し、できる限り多くの誘致を実現してまいります。
 次に、「かながわスマートエネルギー構想」の推進について伺います。
 知事が昨年の第3回定例会において提唱したスマートエネルギー構想は、ソーラープロジェクトを中心とする「創エネ」と合わせて「省エネ」と昨年6月の定例会で我が会派が推進を求めた「蓄エネ」に総合的に取り組み、地域において効率的なエネルギー需給を実現しようとするものであります。
 しかし、原子力発電所の再稼働の目途が立たないなか、今年の夏の電力需要がひっ迫するのは必然であり、神奈川県の全庁的な節電対策が求められます。
 一方、国では、昨年の8月に再生可能エネルギー法が成立しましたが、発電した電気を買い取る価格や期間などの審議が進んでおらず、企業は事業計画を立てることができない状況となっていますので、今後、審議の行方に応じた対応が必要になります。
そこで、知事に伺います。
 かながわスマートエネルギー構想の推進については、当面は今年の夏の電力需給対策に焦点を当て、「創エネ」「省エネ」「蓄エネ」の取組を一層拡大するとともに、中長期的には国のエネルギー政策の動向や技術革新の状況なども踏まえながら、段階的に取り組んでいく必要があると考えますが、今後、どのように展開していくのか伺います。

>> 答弁要旨
 次に、『かながわスマートエネルギー構想」の今後の展開についてでありますが、県の総合計画に位置づけるとともに、当面はこの夏の電力不足対策を最優先課題として取り組んでまいります。そのため、「創エネ」の取組としては、即効性のある太陽光発電の急速な普及を図るため、引き続きソーラープロジェクトを重点的に推進いたします。併せて、「省エネ」については、中小規模事業者の節電対策として、電力の使用量を「見える化」 し、自動的に節電を行う「デマンドコントロールシステム」の導入支援や;家庭の省エネ診断等を行うほか、県警本部など県有施設にLED照明を導入いたします。
 次に、中長期を見据えた展開ですが、『創エネ」r省エネ」r蓄エネ」の取組を強化しつつ、1C Tを活用してそれらを組み合わせ、家庭や事業所、さらに地域において、電力の効率的な需給を図る「スマート化」の実現に取り組んでまいります。
 そこで、具体的には来年度は、環境行政と商工行政のクロスファンクションにより、オフィスや工場の『スマート化」 に向けて、太陽光発電と電気自動車の蓄電機能を組み合わせた、エネノレギーの需給管理システムの実証モデルの設置や、産学公による共同研究開発などを進めてまいります。
 次に、「リニア中央新幹線について」、2点、伺います。
 はじめに、「リニア駅設置について」、伺います。
 リニア中央新幹線は、昨年11月に、」R東海が中間駅の建設費を全額負担することを表明したことで、費用負担の問題が大きく前進し、地元自治体がしっかりとまちづくりに取り組む環境が整い、今月3日、知事と相模原市長が共同で、神奈川県内の駅を「橋本駅周辺」に誘致することに合意したことを公表しました。このことは、県民の期待するリニア中央新幹線の実現に、また一歩前進したものと評価しております。
 今後は、橋本駅周辺のどこに駅を設置するのかが焦点となりますが、現在の土地利用状況を見ると、駅設置を含めたまちづくりは、駅の南側で展開せざるを得ないと考えますが、駅の南側の近接した位置には、県立相原高校が立地しており、北のゲートにふさわしいまちづくりを進めていく中で、相原高校の対応は、避けて通れない大きな問題と認識しています。
そこで、知事に伺います。
 県内の駅位置を含めたまちづくりについて、どのように検討を進めていくのか、また、こうしたまちづくりを展開する中で、県立相原高校について、どのような方向性で検討を進めるのか、併せて、伺います。
>> 答弁要旨  次に、リニア中央新幹線について、何点かお尋ねがありました。  まず、駅位置を含めたまちづくりについてであります。今回、駅誘致地区を橋本駅周辺と合意しましたが、駅位置については、」R東海において、技術的な観点から検討を加え、最終的に決定していただくことが必要であります。 その上で、橋本駅周辺を北のゲートにふさわしい魅力あるまちとしていくことが重要となりますので、まずはこの地域の未来を見つめ、例えば、航空宇宙産業の集知|積を図るなど、夢のあるまちづくりをどのように進めるのか、様々な観点から検討 が必要となってまいります。今月10日に、県も参加する中、相模原市がまちづくりに関する委員会を設置しましたので、このような場などを通じ、関係者とともに英知を結集し、検討してまいります。  次に、相原高校についてでありますが、相模原市長とは、橋本駅北側は再開発事業が完了しているため、新たなまちづくりは駅南側で展開すること、また、リニアの駅は橋本駅に近接して設けることが必要であると、相互に確認しております。そうなりますと、橋本駅南側に面している相原高校については、現在の教育環境を継続して確保するためには、移転を検討せざるを得ないと考えております。今後、学校関係者や教育委員会などのご理解、ご協力も得ながら検討を進めてまいります。

 次に、「北のゲートの進展と、今後の県央・湘南地域圏の活性化について」、伺います。
 県は、本県の中央部、県央及び湘南地域圏の一層の発展を実現するため、地元市町とともに、ネットワーク型都市圏の形成を目指してきました。
 南のゲートとなる東海道新幹線新駅の受け皿であるツインシティについては、今年に入って、平塚市が大神地区のまちづくり計画(素案)のパブリックコメントを実施し、相模川対岸の寒川町倉見地区においても、平塚側と歩調を合わせて魅力あるまちづくりを進められるよう、地元合意の形成に取り組んでいます。
 また、南北二つのゲートを結ぶJR相模線の輸送力増強については、昨年から県、沿線市町とJR東日本による検討が進められています。道路網の面でも、さがみ縦貫道路が順次開通していくなど、地域圏の将来の交通ネットワークの姿がこれまで以上に明確になりつつあります。
 そうした中で、今回、リニア中央新幹線の駅誘致地区の位置が絞り込まれ、北のゲートの形成に向けて一歩前進したことは、県央・湘南地域圏の発展を支える広域交通ネットワークの形成に向け、大きな成果と考えます。
そこで、知事に伺います。
 今回のリニア中央新幹線に係る北のゲートの進展をどのように認識し、今後の県央・湘南地域圏の活性化につなげていくのか、伺います。
 以上です。
>> 答弁要旨
 次に、北のゲートの進展と今後の県央・湘南地域圏の活性化についてであります。県央・湘南地域圏では、全国との交流連携の窓口である南北二つのゲートの核となる、リニア駅と新幹線新駅の実現や、交通軸の強化により、ネットワ}ク型都
市圏の形成を推進してまいります。こうした中、リニア中央新幹線の駅誘致地区の絞り込み、すなわち北のゲートの進展は、広域交通ネットワークの形成にとって、大きな前進であり、南のゲートの核となる東海道新幹線新駅の実現にとっても、強い追い風にしなければならないと認識しております。このため、ツインシティをはじめ湘南地域圏においても、南のゲートとして、誰もが訪れたくなる、魅カあるまちづくりをしっかり進めることが重要となります。
 全国との交流の大きな結節点である南北のゲートやさがみ縦貫道路など、交通ネットワークの進展は、これまで県の東部に偏っていた産業構造の軸足を、大きく弁|県央・湘南地域圏にシフトさせ、県土構造を変える、またとない機会であります。この機を逃さず、地域圏の一層の活性化に向けて、新しい産業の育成、集積などに積極的に取り組み、県全体の発展につなげてまいります。私からの答弁は以上であります。
(要望)
まず、一点目の要望でございますけれども、リニア中央新幹線に関わる新駅設置に関連しまして、今後の県央・湘南地域の活性化についてでございます。北のゲートが本格的に動き出し、南のゲートでの連携した取組みは、本県の骨格をなす重要な事業であります。母なる相模川、湘南が連携をし、また将来の神奈川に、またこどもたちにも大きな夢をもたらす、事業を推進されるよう要望いたします。


 質問の第2は「予算編成について」、4点、伺います。
 はじめに、「平成24年度の県税収入の見通しと予算編成の考え方」について伺います。
 最近の経済情勢について、先月24日に閣議決定された政府経済見通しでは、本格的な復興施策推進による国内需要の増加に加え、世界経済の持ち直しによる輸出増加への期待などから、景気は緩やかに回復するとして、平成24年度の実質経済成長率をプラス2.2%と見込んでいます。
 一方、足下の実体経済を見ると、為替相場は、昨年夏以降、1ドル70円台の歴史的な円高が続くとともに、年明け以降、対ユーロでも円高が進んでおります。民間シンクタンクでは、こういう状況が続けば、輸出の減少などを通じて企業収益が悪化し、景気の下振れも懸念されるとの見方も示されており、税収を取り巻く情勢は先行き不透明であります。
 こうした中、新年度の地方税収は、固定資産の評価替えに伴い、不動産取得税や、市町村の基幹税目である固定資産税にマイナス影響が懸念される一方、年少扶養控除の廃止により、個人住民税全体では、全国ベースで4,000億円規模の増収が見込まれており、本県税収についてもプラス影響が期待されるところです。
 そこで、知事に伺います。
 平成24年度の県税収入について、前年度当初予算額とほぼ同額、最終予算額に対しては30億円の増収となる9,952億円を当初予算に計上していますが、現下の経済情勢や景気見通し、さらには税制改正による影響などを踏まえて、どのような見通しのもとで予算計上したのか伺います。
また、こうした税収動向も踏まえ、知事にとっては、最初の本格的な予算編成となった24年度の歳出予算について、どのような考え方のもとに編成されたのか、併せて伺います。
>> 答弁要旨(速報であり公式の記録ではありません)
 予算編成について何点かお尋ねがありました。まず、平成24年度の県税収入の見通しと予算編成の考え方についてであります。平成24年度の県税収入につきましては、雇用情勢や所得環境に改善がみられないことに加え、24年3月期の企業収益も、東日本大震災や歴史的な円高の影響から減益の見通しであるため、個人県民税や法人二税といった基幹税目で伸びが期待できない状況にあります。こうしたことを踏まえ、県税収入全体では、前年度当初予算額とほぼ同額の9,952億円を予算計上しておりますが、年少扶養控除の廃止など、税制改正による増収影響を除いた実勢ベースでは前年度を下回る見通しであり、税収環境は依然として厳しいものと認識しております。
 次に、平成24年度の予算編成の考え方ですが、私は900億円もの財源不足を抱えてのス
タートに強い危機感を抱きました。そこで、財源が限られている中で、施策・事業の「選択と集中」を徹底するとともに、民間資金の活用など、様々な工夫と知恵を出すよう指示しました。その結果、財源不足に対応したうえ、地震防災対策など本県を取り巻く喫緊の課題に対して、的確に、かつ、スピード感を持って取り組むとともに、「いのち輝くマグネット神奈川」を実感できる予算が編成できたものと思っているところであります。

 次に、「震災復興に関する税制措置による財源の活用について」、伺います。
 昨年秋の臨時国会では、東日本大震災からの復興経費を盛り込んだ第三次補正予算案とともに、震災復興に関する税制措置法案が成立しました。
 今回成立した税制措置法により、国税については、法人税と所得税の付加税の創設により10兆円規模の財源を確保し、主として被災地の復興財源として活用することとされており、一方、地方税については、個人住民税の税率引き上げなどにより、8千億円規模の財源を確保し、全国の都道府県及び市町村が実施する防災施策の財源として活用することとされています。
 本定例会には、税制措置法の成立・施行を受け、県税条例の改正案が提案されていますが、東海地震や県西部地震発生の切迫性が指摘されている本県において、この県民の貴重な財源を活用し、いかに実効性のある対策を講じられるかは非常に重要な課題です。
 そこで、知事に伺います。
 当局の試算によれば、本県では、今回の税制措置により、今後10年間で約290億円の財源が見込まれていますが、この貴重な財源を基に、県としてどのような考え方のもとで、どのような施策を実施していくのか、伺います。
>> 知事答弁
 次に、震災復興に関する税制措置による財源の活用についてです。今, 回実施される税制措置は、緊急に地方自治体が実施する防災・減災の施策に必要な財源を確保するためのものであります。国の想定では、ハード事業を基本に財源の活用を図るものとしていますので、県としては、現在見直しを進めている県の地域防災計画のうち「都市の安全性の向上」「災害時応急活動事前対策の充実」 に位置づける施策を中心に、取り組んでまいります。具体的には、まず、「東日本大震災の経験を踏まえ、新たに取り組むべき事業」 として、津波避難タワ} の整備や、災害時に避難場所となる県立学校の体育館の耐震化整備などを進めてまいります。
 また、「既存の施策をより一層充実・強化すべき事業」 として、防災拠点や避難路の整備、河川等の耐震化などの事業を、さらに、耐震化計画を前倒しして、県立学校の校舎や県立公共施設の耐震化整備をスピードアップするなど、「地域防災計画」 に基づく施策を更に推進するために、この財源を最大限活用したいと考えています。

 次に、地域防災計画の地震災害対策計画・修正素案を踏まえて「今後の地震防災対策について」、3点、お聞きします。
 まず、「津波対策について」、伺います。
 東日本大震災において私たちは、巨大津波により海沿いの地域の街がそのまま消えてしまった現実を目の当たりにしました。これは東京湾と相模湾に面する本県としても、他人事ではなく、巨大津波への十分な備えが喫緊の課題となりました。
 一方、今回の震災の経験を活かし、昨年12月末に、地震・津波対策の抜本的な強化を図った国の防災基本計画の修正計画が示されました。
 県でも、現在、県地域防災計画の地震災害対策計画の見直しを行っていますが、津波対策への取組みは大幅な強化が求められているところです。
 そこで、知事に伺います。
 東日本大震災の経験及びこれまでの県計画の見直し状況を踏まえ、地震防災対策の大きな課題である津波対策について、県計画ではどのように位置づけ、今後、具体的にどのように取り組んでいくのか、伺います。
>> 知事答弁
 次に、今後の地震防災対策について、お尋ねがありました。はじめに、津波対策についてであります。まず、県地域防災計画への位置づけでありますが、今回の計画修正における取組みの方向として「概ね数百年から千年に一回発生する最大クラスの津波」 これに対しては、避難することを最優先とし、避難体制の整備を進めること、また、「概ね数十年から百数十年に一回程度発生する規模の津波」 これに対しては、内陸への侵入を防ぐ海岸保全施設等の着実な整備を進めることといたしました。こうした考え方に基づく具体的な取組みですが、今年度中に新たな浸水予測図や津波ハザードマップ作成の手引きを沿岸市町に示し、今後、県・市町が連携して避難体制を整備してまいります。
 
 また、この夏を目処に「津波避難タワー」 の整備に取り組むとともに、平成24 年度においては、沿岸近くの県営住宅や県立高校を津波避難ピルとして活用するための調査や整備を進め、併せて、津波情報の多様な伝達手段として、津波情報看板や県管理道路の道路情報板などの整備を進めてまいります。さらに、大津波などの大規模災害により大量の負傷者が発生することを想定して、新たに自衛隊医療関係部隊などと連携し、災害医療に重点をおいた訓練として「ビッグレスキューかながわ」これを実施いたします。このように、県としては、一人でも多くの県民の命を守ることを最優先に、沿岸市町と連携して津波対策に取り組んでまいります。
(再質問)
 津波対策についてでございます、先日、1月22 日だと思いますけれども、平塚市では、独自に10 メートノレの津波浸水モデルシミュレーションを示しました。ところが県が公表しました浸水予測図とは基礎となるデータが異なることとなったため、複数の情報が出され、一部の市民に混乱がありました。県の新たな津波浸水予測図の策定にあたっては、市、町と十分調整して、県民に誤解されないよう、わかりやすく情報提供することが必要です。県はどのように取り組んでいかれるのでしょうか。
>> 答弁要旨
 森議員の再質問に、お答えしてまいります。津波対策の検討にあたっては、県が広域的観点から沿岸部の津波浸水予測を実施します。それを基に市町がハザードマップの作成等を行うという、こういう役割分担になっております。そうした中、県の津波浸水予測では、津波高6.8m、これでは国道134号は越えないわけであります。
 しかし平塚市として、市民の皆様に、津波が押し寄せて来る方向や浸水域などの状況をイメージしていただくために、あえて国道134 号を越える津波高10mでのシミュレーションを行ったと聞いております。今後、前提となる考え方を市民の皆様に十分説明し、わかりやすい情報提供を行っていただくよう、県としても協力してまいりたいと思っております。
(要望)
 まずは初めに津波対策についてでございますけれども、今お答えいただきましたが、沿岸部に住む県民にとっては、これは市民も県民も同じでございます。今回の教司” を活かした中で津波対策、喫緊の課題でありますけれども、この県民が、県の提供するデー夕、そして地元の市町村が提供するデータ、この二つが食い違いがあるようなことであれば、大変混乱を招くわけであります。分かりやすい説明をするとともにそのことについては十分配慮されますよう要望をしておきます。

 次に、「救助・避難対策のための基盤整備について」、伺います。
 大規模災害が発生した場合には、災害への対応と同時に地域住民や帰宅困難者などの救助・避難対策が大変重要となります。
 救助・避難対策を迅速・円滑に行うためには、自衛隊や緊急消防援助隊との緊密な連携など広域応援体制の充実はもとより、避難所の確保や避難ルートの周知、避難者に必要な物資の備蓄など、事前対策の充実を図っていく必要があります。こうした避難対策は、一義的には市町村の役割ではありますが、東日本大震災のような広域的な災害を踏まえると、県としても市町村と緊密に連携し、積極的に対応を図るべきと考えます。
 さらに、県民のいのちを守るためには、迅速・的確な災害時の情報受伝達体制の整備が重要ですが、今回の震災では、行政機関そのものが甚大な被害を受け、情報の受伝達自体ができなかった事例もあり、情報通信機器そのもののバックアップ体制や近隣自治体による相互支援体制を確立しておくなどの準備も必要と考えています。
 そこで、知事に伺います。
 救助・避難対策については、人命救助用資機材や生活物資の備蓄など県としてもしっかりと取り組んでいく必要があると考えますが、どのように取り組んでいかれるのか。
 また、災害時の情報受伝達の充実・強化や相互支援体制の確立は、救助・避難を円滑に実施するための方策としてたいへん重要と考えますが、今後どのように取り組んでいくのか、併せて伺います。
>> 知事答弁
 次に、救助・非難対策のための基礎整備について、お尋ねがありました。
 まず、人命救助用資機材や生活物資の備蓄についてであります。
 本県では、これまで、総合防災センターは備蓄拠点、広域防災活動拠点などに人命救助用防災資機材などの備蓄を行ってまいりました。
 しかし、東日本大震災での沿岸地域一帯の甚大な津波被害状況を踏まえ、新たに、総合防災センターと足柄上合同庁舎を、沿岸地域被災時の後方応援拠点に位置づけ、高圧洗浄機やエンジンカッターなどの資機材を整備することとしました。
 あわせて、生活物資についても、簡易トイレ、おむつ、食料等を後方応援拠点に備蓄し、市町村の避難所運営を支援できるよう取り組んでまいります。
 次に、災害時の情報受伝達の充実・強化や相互支援体制の確立についてであります。
 東日本大震災では実際に多くの自治体の庁舎が被災したことから、本県としても県庁舎自体が被災し、災害対策機能が失われることを想定する必要があります。
 そこで、災害時の初動対応で最も重要な、「市町村などとの情報受伝達機能J を確保するため、総合防災センターに情報通信機器を整備し、パックアップ機能を持たせることにいたしました。
 また、自治体同士の支援体制の整備も重要な課題ですので、市長会・町村会とともに、地域県政総合センターを中心とした県内市町村の相互支援体制を新年度から運用開始する予定であります。
 今後とも、こうした取組みを充実・強化するとともに、繰り返し検証しながら、本県の地域防災カのより一層の向上を図ってまいります。

 次に、「市町村への支援について」、伺います。
 災害が発生した場合に備えて、避難所施設などの整備や生活物資の備蓄などに取組む市町村に対し、県では、これまで法人二税の超過課税を活用して3期15年にわたり年間20億円の市町村補助を行ってきましたが、平成22年度で終了となり、23年度からは消防の広域化などに重点化した補助制度としました。
 しかしながら、昨年の東日本大震災の経験を踏まえますと、市町村においては、改めて、避難対策を含めた新たな地震防災対策をはじめ、対応すべき課題が山積しており、多くの市町村からも県の支援制度の充実・強化が望まれているところです。
 先ほどの、復興税制による財源の活用の質問でも述べたように、市町村にも新たな財源が付与されますが、小規模自治体ではその額も限られており、十分な効果が期待できるか懸念もあります。
 そこで、知事に伺います。
 東日本大震災の経験を踏まえて、地域の地震防災対策に取り組む市町村への支援について、具体的にどのように進めていくのか、伺います。
>> 知事答弁
 次に、市町村への支援についてであります。県では、これまでも市町村の地震防災対策への支援を通じ、県全体の防災力向上に努めてまいりましたが、東日本大震災を踏まえ、津波避難対策などの新たな課題への迅速な対応が必要となっています。
 そこで、こうした新たな課題に、市町村と連携して対応するため、24年度に、総額3億円の「市町村地震防災対策緊急推進事業費補助金」、これを創設することとしました。この補助制度により、災害情報を迅速、確実に住民に伝達するための防災行政無線などの充実や、津波に対する避難路や避難タワーの整備、地域防災の要である消防団の体制強化など、市町村の取組みを支援してまいります。
 また、復興税制による財源の積極的な活用を周知するとともに、小規模自治体では、県の補助制度を併せて活用し、地震防災対策を推進するよう、働きかけてまいります。一方、地域の災害対策を担う消防については、小規模な自治体の体制では限界があり、消防本部の規模を大きくし、災害対応力を強化する消防の広域化を推進してきましたが、このたびの大震災を踏まえると、その重要性はますます大きくなったと認識しております。
 そこで、県では消防の広域化に取り組む市町が行う施設や設備整備に対する財政支援を行うとともに、広域化の推進に向けた市町聞の調整や助言など、一層の支援強化を図り、市町村の地震防災対策の強化を図ってまいります。

(再質問)
 次に、市町村への支援についてでございます。県のあり方として、市町村との関係は重要です。来年度の予算では県から市町村への補助金が、自治基盤整備事業や地震防災対策費の支援など異なった視点から支援策が予算として計上されています。しかし、国の基金の使い勝手の悪さへの県の要望などを考えれば、市町村の立場に立った、使い勝手のよい補助金の枠を増額させることが重要であると考えます。24 年度の県の市町村へ. の補助について、どのような考え方で予算計上したのか、確認したいと思います。

>> 知事答弁
 市町村に対する県単独補助金については、広域自治体としての県の役割を果たしていくことを基本に、市町村のニーズや意見などもしっかり踏まえ、使い勝手のよい制度となるよう必要な見直しを行ってきたところであります。24 年度当初予算も、こうした考え方に沿って計上したところでありますけれども、具体には、「市町村自治基盤強化総合補助金」については、これまでのメニュー補助金と同額の12億円の規模を維持した上で、個別の施設整備への支援から、広域連携や先進的な取組みを支援するという仕組みに見直しを行ったところであります。
 また、今回創設しました「市町村地震防災対策緊急推進事業費補助金」、これにつきましては、津波避難対策の充実や消防団活動の強化など、東日本大震災の教訓を踏まえた市町村. の取組みを、きめ細かく柔軟に支援することといたしました。
 なお、この事業には3億円の予算を計上しておりまして、その他の消防防災力強化のための補助金等を含めると、全体では約4億4千万円を増額したところであります。

(要望)
 次に、市町村への支援についてでございます。今後予定されている、復興増税の計画策定や津波対策など、地域の状況を把握している市町村と、広域自治体である県が十分に連携を図っていくことが大切であります。その際には部局横断的な取組み、まさに知事がおっしゃっているクロスファンクションが何よりも県庁内でスムーズに機能するよう、十分に対応を要望しておきます。

 次に、「公共事業に係る予算編成について」、伺います。
 東日本大震災が発生してまもなく一年を迎えようとしています。私も被災地に伺い、生活基盤が破壊されたまちの状況を目の当たりにし、自然災害の脅威を感じました。
 被災地では、緊急輸送路が、地震発生後の救援活動や物資の搬入に活用されており、改めて公共土木施設の重要性を認識した次第であります。
 本県におきましても、近い将来南関東地震や東海地震などの発生を想定した十分な対策を進める必要があるため、救援活動や復興の動脈となる道路や港湾施設の強度確保は重要な施策であります。
 また、こうした社会基盤の役割は、自然災害対策のほか、地域経済の活性化につながるものでもあり、とりわけ道路整備は法人二税の超過課税の活用事業にあたっていることから、「かながわのみちづくり計画」に基づき、幹線道路網の効果的な整備を進めていくべきです。
 このように公共土木施設には重要な役割があるので、財政状況が非常に厳しいことは承知しておりますが、公共土木施設がその機能を十分に発揮するためには、公共事業への投資をしっかり行っていく必要があると思います。
 例えば、私の地元、平塚市を含む、県央・湘南都市圏は、県の中心部に位置しており、今後も企業進出など、産業の振興が期待できます。この地域では、現在、県土の南北軸の交通ネットワークの強化のため、さがみ縦貫道路の整備が進められている一方で、相模湾沿岸の国道134号線は、高浜台交差点から西湘バイパスまでの区間について、道路渋滞が激しく、現在、4車線化への取組みが進んでいます。さらに、新湘南バイパスが完成すれば、地域住民の利便性向上はもとより、湘南などの観光地へのアクセスが今まで以上に強化されるものと考えます。
 そこで、知事に伺います。
 災害時に重要な役割を果たすとともに、地域活性化にも利する道路や河川などの公共・県単独土木事業の予算編成をどのような考え方で行ったのか、伺います。
 以上です。
>> 知事答弁
 次に、公共事業に係る予算編成についてであります。
 道路や河川などの公共事業・県単独土木事業については、「安全・安心にくらせる
まちづくり」と「活力ある県土形成」を基本的な考え方として編成し、前年度並み
の815億円を計上したところであります。「安全・安心にくらせるまちづくり」については、東日本大震災を踏まえ、地震や津波・高潮の対策として、道路や橋りょう、海岸・港湾施設等の整備を、また、ゲリラ豪雨等による災害対策として、土砂災害防止施設や「都市河川重点整備計画」に基づく河川の整備を進めております。こうした災害対策事業に、公共事業・県単独土木事業予算の約3分の2の555億円を計上し、県民の安全安心の確保を図るよう取り組んでまいります。次に、「活力ある県土形成」については、法人二税の超過課税を活用し、さがみ縦貫道路などの自動車専用道路網や、国道134号の高浜台交差点以西の4車線化などの交流幹線道路網を整備します。平成24年度は『さがみ縦貫道路」の一部区間の開通が予定されるなど、本県の道路整備にとって大変重要な時期であり、着実に、道路網の整備を推進し、活力ある県土形成に取り組んでまいります。答弁は以上です。

 質問の第3は「医療・福祉問題について」、2点、お聞きします。
 はじめに、「医療のグランドデザインについて」、伺います。
 「医療のグランドデザイン」は、今後10年先を見据え、本県の医療の現状を県民、患者の立場からも見直し、本県医療のあるべき姿、課題解決の方向性を示すために、県が策定を進めているもので、「医療のグランドデザインプロジェクトチーム」により、策定に向けて検討を重ねていると承知しています。
 昨年の12月8日に報告された「中間とりまとめ」において、「医療は、患者と医療提供者の信頼関係を基本に成り立つものであり、県民、患者に選択に必要な情報が提供されることが必要である」としており、患者が納得できる医療の提供に向けて、この点は非常に重要であります。
 これまでも、診療の場において医師から患者や家族に治療法などの十分な説明が行われていると思いますが、患者や家族が納得できる医療の提供を受けるためには、さらに一歩進んで「患者自身が治療を選択・決定できる環境づくり」をいかに進めていくかということが課題と考えます。
 また今回、一昨日の本会議における知事の提案説明の中でも、医療のグランドデザインに基づく取組みとして、いくつかの項目が挙げられました。
 わが会派としても、また県民の目線から見ても、10年先を見据えた中で、まずこれからの1年、具体的に、どんなことから始めていくのか注目しており、その説明が必要と考えます。
 そこで、知事に伺います。
 医療のグランドデザインを策定しようとする中で、「患者自身が治療を選択する」という意義について、県はどのような基本的な認識を持っているのか、また、医療のグランドデザインの具体化を進めていく上で、取組の初年度となる平成24年度は、具体的にどのような事業に取組もうとしているのか、伺います。
>> 知事答弁
 医療福祉問題について、何点かお尋ねがありました。
 まず、医療のグランドデザインについてであります。医療は、患者と医療提供者の信頼関係を基本に成り立つものであり、患者自身が十分な医療情報を得て、治療を選択することは、治療を前向きに取り組むことにつながり、重要なことであると認識しております。そのために患者が、医療提供側と対等な立場で医療情報を共有することが必要であります。
 これまでも、インフォームドコンセントの普及やセカンドオピニオンの推進などにより、息者への医療情報の提供は行われておりますが、患者と提供側では情報量に圧倒的な差があり、愚者が納得できる医療という点では、まだまだ、不十分な面もあると考えております。
 そこで、「医療のグランドデザイン」の中で患者・家族が多様な医療を自ら選択できる環境について、検討をお願いしたところであります。昨年12月のグランドデザインの中間とりまとめでは、「聞かれた医療と透明性の確保」の視点から、患者と医療機関が医療情報を共有する「マイカルテ」、これの導入や治療の選択肢の多様化のための東洋医学への理解促進などの方向性が示されたところであります。
 次に、グランドデザインに基づき、来年度取り組む事業でありますが、これまでの検討状況や中間とりまとめを踏まえ、新たな救命救急センターの設置支援やNICUの増床など周産期医療体制の充実強化、医師確保のための修学資金貸付金の増などを行ってまいります。
 また、東洋医学と西洋医学の連携促進を図るためのシンポジウムや医療関係者の研修会を開催するとともに、生活習慣病予防に役立つ高機能性食品の研究など、医食農同源の取組みを推進してまいります。さらに、中長期的な検討が必要な事業は、平成25年度からの次期保健医療計画に位置づけるなどして、県民、患者が納得できる医療を提供する「神奈川モデル」 を示していきたいと考えております。

 次に、「子育て支援について」、3点、お聞きします。
 はじめに、「児童自立支援拠点について」、伺います。
 児童虐待は増加傾向にあり、昨年度、全国の児童相談所が対応した児童虐待は過去最多の5万件を超え、本県全体では、7,466件と、大阪府に次ぎ、全国で2番目であります。
 虐待を受けた子どもの中には、在宅での支援では子どもの心身の発達を阻害するなど、保護者から引き離すことが必要な事案もあり、その要因としては、子どもに障害があることで虐待を受けるケースも少なくないと聞きます。
 こうした子どもたちは、児童相談所などにおいて一時保護され、その後、児童養護施設や障害児施設で生活することになります。
 複合的な課題を抱えた子どもたちには、特に手厚いケアが必要でありますが、現状の児童福祉施設には、個々の子どもに適した環境やスタッフなどが十分に整っているとはいえません。
 このような専門的なケアが必要な子どもたちを対象に、数少ない入所型の県立児童福祉施設の中で、中里学園とひばりが丘学園の2つの施設の機能を統合・強化し、新たに、心理、医療等の専門的なケアができる入所機能をもった「児童自立支援拠点」の整備を進めるという、県の取組みについて、非常に期待しております。
 また、この拠点は児童福祉施設であることから、対象とするのは、原則として18歳まで、延長したとしても20歳までとなりますが、障害がある方など20歳以降も支援を要する場合もあり、この拠点が中核となって、成人期の支援にもつながる総合的な支援体制を構築することが必要と考えます。
 そこで、知事に伺います。
 今後、県として、様々な事情のある子どもの自立を支援するにあたって、児童相談所との連携はもとより、既存施設とのネットワークを活かした取組みが重要と考えますが、平塚という立地も含め、どのように推進していくのか、伺います。
>> 知事答弁
 次に、子育て支援についてお尋ねがございました。まず、児童自立支援拠点についてであります。児童虐待や知的障害・発達障害など、子どもに関わる相談については、現在、県所管の5つの児童相談所のほか、中井やまゆり固に併設された発達障害支援センターや、藤沢市内にある県立総合療育相談センターなどが、それぞれ専門的な相談支援に取り組んでおります。
 近年、感情のコントロールができない、対人関係がとれないなど、情緒・行動上の課題を抱えた子どもが増加しており、こうした子どもたちに対し、一人ひとりの発達段階や障害程度に応じた治療的なケアが必要となっております。そこで、心理面・医療面での専門的なケアを行い、子どもたちの社会生活への適応力を養うとともに、家族関係を修復し、再び家庭や地域で生活できるよう支援するため、乳児院、情緒障害児短期治療施設、知的障害児施設の機能を併せもった「児童自立支援拠点」 を整備することといたしました。
 さらに、この拠点では、課題を抱えた子どもに対する個別の支援プログラムの開発や、市町村、学校、児童養護施設など、子どもとその家族の支援に携わる職員の研修を実施するなど、人材育成にも取り組んでまいります。整備箇所としては、各地域からの交通の利便性や落ち着いた養育環境という点から、県所管域のほぼ中央に位置する平塚市内の元・県立五領ヶ台高校跡地を候補地とし、今後、地元との調整を行ってまいります。
 また、拠点の機能を有効に発揮させるためには、県の専門機関や市町村、学校といった地域の関係機関との連携が必要でありますので、今後、立地条件も活用し、拠点を中心として、総合的な支援のネットワークを再構築してまいります。こうした取組みを通じて、情緒障害や発達障害などの子ども一人ひとりについて、乳幼児期、学齢期から成人期を通じ、切れ目のない支援を行ってまいります。

(要望)
 様々な事情を抱える児童の自立を支援することは、.社会全体で受け止めていくべきものと考えております。この施設の受け入れには、地域の方々も、ご理解をいただいていることと思いますが、今後の住民説明会などでも、この施設の意義や重要性なども含め、十分に説明されるよう要望いたします。

 次に、「子ども・子育て新システムについて」伺います。
 現在、消費税の増税を含む「税と社会保障の一体改革」について、激しい論戦が交わされておりますが、政府は、この一体改革によって、「子ども・子育て新システム」の導入のための財源を確保することも目指しているとも聞いております。
 この新システムは、保育や幼児教育など、主に、就学前の子どもと子育て家庭を対象とする子育て支援に新しい仕組みを導入し、充実を図ろうとするもので、関連法案が、3月に提案される予定であります。 
 しかし、法案提出が目前に迫っているにもかかわらず、2月13日に示された「子ども・子育て新システムに関する基本制度とりまとめ」には、未だに「検討する」という表現にとどまっている部分がいくつも見受けられるなど、拙速であると言わざるを得ません。我々は、そもそも消費税増税を前提とした制度であること自体に疑問を持っており、想定されている内容にも課題が多いと感じています。
 特に、本県において深刻な待機児童問題については、現在の認可保育所の制度に加えて、指定制を導入することによって、解決を図ろうとしておりますが、保育所の安定的な運営を確保するといった点からも不安を感じており、また質の低下も危惧するところであります。
 そこで、知事に伺います。
 「子ども・子育て新システム」で想定されている待機児童対策のしくみの概要と、県としては、どのようなメリット、デメリットがあると受け止めているのか、伺います。
>> 知事答弁
 次に、「子ども・子育て新システム」についてであります。「子ども・子育て新システム」 については、この2月13日に、内閣府副大臣を座長とするワーキングチームによる「基本制度とりまとめ」が公表されたところであります。この新システムによる待機児童対策の概要ですが、現在、保育や待機児童対策に中心的役割を果たしている認可保育所については、国の定めた基準を満たしたうえで、地元市町村の同意が得られた場合に認可されるしくみとなっています。このような認可制度に加え、「基本制度とりまとめ」では、指定基準を満たせば、全て、「こども園」 として指定を受けることができる「指定制度」 の導入が想定されています。
 この指定制度によって、運営経費に対し国の助成を受けられることになりますので、株式会社やNPOなど多様な主体の参入が進み、待機児童対策の推進に繋がることが期待できます。
 また、共働き家庭の子ども以外に、保護者がパートタイムで働いている場合や病気で通院する際なども、その子どもが保育を受けられるようになることから、個々の子育て家庭のニーズに応じた保育サービスの利用が広がってまいります。一方で、短時間でも利用できるなど、保育サーピスの対象が拡大することによって、これまで以上に保育サービスの利用希望が急増することが予想され、そのニーズにこたえるため、財政的負担が急拡大する懸念があります。「子ども・子育て新システム」につきましては、これまで、全国知事会として、「地方が、裁量と創意工夫を発揮できる仕組みが不可欠」であり、そのうえで「財政スキームや地方の裁量権の拡大について検討を進めること」 これを園に提言してきており、今後の国の検討状況を注視してまいります。

 さらに「民間保育所への支援について」伺います。
 本県内の認可保育所の定員数は、平成13年4月1日時点では、公立保育所と民間保育所の定員数は、それぞれ約3万4千人近くと、待機児童対策の推進に伴い、民間保育所が著しく増加しています。
 具体的には、県全体では、平成23年4月1日時点で、公立に対して定員の約68%が民間保育所によって占められています。これを、政令市・中核市を除く、県の所管域に限って見ても、定員の約63%を民間保育所が占めています。
 このように、就学前の子どもの保育の相当部分を、社会福祉法人等が設置・運営する民間保育所が担っている中で、県では、長く、民間保育所の運営に対する補助を、市町村とともに行ってきたところであります。
 だが、ここ数年、補助の削減が続いてきたことから、経営の厳しさを訴える園もあり、わが会派にも、保育の現場からの様々な声が寄せられてきました。県財政の危機的状況の中であっても、子育て支援策の要である民間保育所への支援は欠かせないものと考えます。
 そこで、知事に伺います。
 財政状況が極めて厳しい中、平成24年度の当初予算において、民間保育所の運営に対する支援については、どのように対応していくのか、伺います。
 以上です。
>> 知事答弁
 次に、民間保育所への支援についてです。県では、政令市・中核市以外にある民間保育所に対し、児童福祉法に基づく義務的経費として、入所児童数に応じた運営費負担金を支出するとともに、延長保育、休日保育などの経費に対し、国・市町村と協調した補助を行っております。さらに、県と市町村が協調し、入所児童の処遇向上のために国の基準を超えて職員を配置する経費に対し、県独自の補助として「民間保育所運営費補助金」、いわゆる「民運費」の補助を行っております。平成20年秋のリーマンショック以降、待機児童が急増し、保育所の定員拡大に伴い、義務的な負担金の額は、県財政の厳しさが増す中で、20年度の20億円から24年度には30億円と10億円余りの増となっております。特に、23年度から24年度にかけては、2400人の入所児童の増加が見込まれるため、義務的な負担金は前年度比で3億円の増加となる見込みです。このような中で、義務的な負担金を確保しつつ、県独自の補助の制度を維持し、全ての民間保育所に補助を行き渡らせるためには、保育士給与の実態を踏まえた補助単価にするなど、見直しを行わざるを得ませんでした。
 そこで、そうした見直しを行ったうえで、平成24年度については、「安心こども基金」を活用し、保育の質の向上につながる研修関係事業など、約3億8500万円を新たに予算化し、保育所の活動を支援することといたしました。この結呆、義務的な負担金約30億円、県独自の補助金約10億3000万円などと合わせ、総額で50億8400万円、前年度比で5億2700万円の増となる当初矛算を計上したところであります。こうした民間保育所への支援により、24年度において、引き続き、保育の量的拡大と質の確保を図ってまいります。

(要望)
 民間保育所への支援についての要望をさせていただきます。知事が答弁されたように、保育については重要であるとの認識はしっかりなさっているようであります。しかしながら、保育園を運営される方、また、将来の子供のことを考えますと、なによりもひとつの課題として待機児童がある、そのために対応せよという国の指示も受けて、神奈川県また民間保育所の方は一生懸命やってきたわけであります。
 しかしながら、必要とされている補助金に対しましでも、削除されるということだと、保育所の運営自体、経営自体が困難に陥っていく、本当に悲鳴を上げているところであります。子どもは宝だという話になりますが、是非保育の子供についても支えをしていただきたい、そして、県が工夫されていることも良くわかりますが、たった1年の中の対応でありますと、2年後、3年後のことはどうなるんだということがありますので、そこの議論も含めて、知恵を振り絞って対応していただきたいとの要望をさせていただきたいと思います。

 質問の第4は「教育問題について」、2点、伺います。
 はじめに、「私学振興について」であります。
 教育を取り巻く環境が大きく変わる中、私学教育の重要性は高まっています。わが会派としても、建学の精神に基づく特色ある教育を実践している私学への支援に向けて、様々な取組みをしてまいりました。
 さて、平成21年の夏に行われた高校の定員をめぐる公私間協議においては、平成22年度入試から24年度入試までの3年間は、公立高校の入学定員を公立中学校卒業予定者の6割を基本とすることで公私双方が合意したところであります。
 しかしながら、平成23年度入試の結果、全日制進学率が88%まで低下するとともに、定時制高校への通う生徒のうち、経済的な理由により私学への進学を断念した生徒が増えていることなどから、平成24年度入試にあたっては、緊急対応として、公立高校の定員枠を120人増やすことになりました。この公立枠の増は、私学への進学者への減にもつながりかねず、私学にとっては、苦渋の選択であったと推察するところです。
 平成22年度には、高等学校等就学支援金制度が始まり、家庭の負担する授業料は、これまでと比較して減ってはいるものの、公立高校の授業料無償化もあわせて実施されたことから、私学進学者の保護者にとっては、経済的な負担感はむしろ大きくなったと危惧します。わが会派も、昨年9月の本会議において、学費補助の充実を強く要望しました。
 もちろん、これまで県当局が私学に対する支援の充実に努力してきたことは承知していますが、今後も引き続き、厳しい状況が予測される中、社会の要請に応えるきめ細かな教育など私立学校の独自性を実践しようと努力する私学に対し、より一層の経営安定化に向けた支援策を講ずるとともに、授業料等の公私間格差の是正に向けた取組みの強化が必要であります。
 そこで、知事に伺います。
 神奈川の私立高校が今後も先駆的な教育を推進しつつ、公教育の一翼を担うために、どのように経営安定化に向けた支援を行い、また、神奈川県内の私立高校に通わせる保護者の学費負担の軽減に向け、県として来年度どう対応するのか、併せて伺います。
>> 答弁要旨
 私学の振興について、お尋ねがありました。本県の私立高校は、建学の精神に基づく特色ある教育を行い、高校生の約3分のlを受け入れるなど重要な役割を担っていることから、県では、学校運営の健全性の向上を図るため、経常的な経費に対する財政的な支援を行ってきたところであります。この経常費補助については、来年度も、外国人講師による語学教育をはじめ、特色ある教育を推進する私立学校に引き続き支援するなど、私学が独自性を維持しながら安定的に運営できるよう努めたところであります。
 次に学費補助については、厳しい経済状況の中、私立高校の授業料が、これまで以上に家計の負担になっていると考えられ、保護者の経済的負担の軽減と公私間格差の是正を図るための学費補助制度の重要性は高まっております。そこで、経済的な事情にかかわらず、生徒が幅広く進路を選択できるよう、来年度は、年収約250万円以上350万円未満の世帯への支援の充実を図ることとしており、本県の中学生が、公私を問わず様々な高校を選ぶ環境が広がるものと考えております。答弁は以上です。

 次に「スポーツ振興について」伺います。
 スポーツは、人々に大きな感動や楽しみ、活力をもたらすものであり、世界共通の文化であります。昨年3月の東日本大震災や、長期にわたる景気低迷など現在の厳しい社会状況の中にあって、女子サッカーの日本代表「なでしこジャパン」がワールドカップで優勝し、日本中が感動の渦に巻き込まれたことは、記憶に新しいところであります。今年開催されるロンドンオリンピックにおいても、日本勢の活躍が大いに期待されます。
 私は、スポーツ振興については、これまでも時間、空間、仲間の三つの間、いわゆる「三間(さんま)」の重要性について説いてきました。
 すなわち、スポーツ振興においては、運動やスポーツを楽しむ機会をつくると同時に、それができる場を提供すること、また、子どもたちの潜在能力を引き出すうえで、優秀な指導者を配置することや、多くの種目から自由に選択できるような環境づくりも必要と考えます。
 そして、幼児期の遊びの重要性を周知することは、子どもの体力向上にもつながる有効な手段であります。さらに、プロスポーツ選手など、トップアスリートの持てる力を活用した子どもたちとの交流機会の拡大なども期待されるところであります。
 平成23年8月に施行された「スポーツ基本法」を受け、本県では、平成23年12月に県のスポーツ振興の考え方を示す「神奈川県スポーツ振興指針『アクティブかながわ・スポーツビジョン』」の改定が行われました。改定されたスポーツビジョンでは、これまで私が主張してきたことも含め、子どもたちから高齢者まで、県民誰もが生き生きとスポーツに取り組めるように、さまざまな施策展開を期待するところであります。
 そこで、教育長に伺います。
 このスポーツビジョンについて、今回の改定における特徴はどのような点にあるのか。さらに、今後の神奈川のスポーツ振興について、どのように進めていこうと考えているのか、伺います。
 以上です。
>> 答弁要旨
 教育関係について、お答えいたします。神奈川県スポーツ振興指針「アクティプかながわ・スポーツビジョン」の改定の特徴と、今後のスポーツ振興について、お尋ねがございました。スポーツは、すべての人々が、健康で豊かな人生を築くことや、フェアプレー精神の酒養、さらには、国際社会における相互理解にもつながる、世界共通の文化であると認識しております。こうした認識のもと、今回改定したスポーツビジョンの特徴は、「スポーツのあるまち・くらしづくり」 を基本理念として、新たにライフステージを4つに分けて計画を策定したことでございます。各ステージでは、「乳幼児期」 は、体を動かす楽しさに触れること、『児童・青年期」 は、生涯楽しめるスポーツをつくること、「成人期」は、忙しい中でもスポーツに親しんでいただくこと、『高齢期」は、健康・体力に加え、仲間や生きがいをつくること、などをねらいとしております。今後、トップアスリート、企業、大学の方々などと、より一層の連携に取り組み、市町村と共に、誰もが身近なところでスポーツに親しめる機会や場の提供に努め、生涯スポーツ社会の実現をめざしてまいります。以上でございます。

(再質問)
 スポーツをする環境整備が必要であるということで、グラウンドについては砂利よりも土、土よりも芝生が適していると思っておりますが、どのように考えているのか、伺います。

>> 答弁要旨
 グラウンドの芝生化に関するご質問をいただきました。本県では、平成21年度から県立学校のグラウンドの芝生化に取り組んでおり、学校からは児童・生徒が良い環境の中で思い切りトレ}ニングができるなど、芝生化の効果について報告を受けております。こうしたことから、それぞれの学校のグラウンドの利用状況にも配慮しながら、今後も県立学校の芝生化の拡大に向けて、新たに農業高校での芝生の苗作りと、それを活用した芝生の供給体制を構築するとともに、維持管理に関する相談指導体制の充実に取り組んでまいります。
 さらに、県のスポーツ振興の拠点である県立体育センターにつきましでも、サッカーなど、様々なスポーツで使用する陸上競技場の芝生の張替えを来年度行い、多くの県民の皆様にご利用いただける施設として、より良い環境の整備に努めてまいります。

(要望)
 私が今まで芝生に対しては、ここで13年目を迎えます。13年間言ってきて、どれだけ変わったのかなということから言いますと、多少、進歩がありましたけれども、まだまだというふうに私は思っております。特に県立高校、これは何度もお話がありますけれども、たいへん多種多様のクラブもありますし、なかなか難しい部分もありますが、でも努力をしてきていただいたことも確かであります。また養護学校等の整備も頑張ってまいりました。
 そして先ほどからも質問しましたように、これからこの年齢の部分を少しさげていく。中学校、小学校、あるいは保育園や幼稚園などの芝生化というものにも、ぜひカを入れていただければ、子どもたちの、先ほど話をしました「三間」という環境、また空間、時間、そして仲間という観点から言えば、必要なわけですし、その事がぜひ、子どもから大人に変わるときに、必要性を改めて感じるのではないかというふうに思っております。たいへん財政が厳しいなか、承知しておりますけども、私がこの議会にいる聞はずっと言い続けてまいりたいと思っていますし、そのことについてもぜひご協力、またご理解をいただいて進めていただきたいということをお願いしたいと思います。
 県立高校や体育センターの話もございました。たいへん芝生化の取り組みについても承知をするところでありますけれども、やはり神奈川県には大変多くの指導者、また、トップアスリートがいます。山下会長はじめ、多くの人たちをうまく活用していきながら子どもたちに大きな夢と希望を与えるような、そういう努力をしていただきたいと思います。
 以上でこの私の質問はすべて終了させていただきますけれども、新しい総合計画も提案されて厳しい財政状況であるなかで、大震災からの復興、そして地域経済の再生ということについては、たいへん課題は山積をしております。次の時代を担う子どもたちが夢を抱き続けられる神奈川となるよう、具体的には、今後の委員会でも十分と意見を述べさせてもらい、議論をさせてもらって、われわれ議会もしっかりと取り組んでまいることをお誓い申し上げ、そして、ぜひ当局との連携のなかで頑張ることをお願いして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

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