県議会H30年3月 – 予算委員会
2018年 3月12日に行われた神奈川県議会平成30年第1回定例会予算委員会にて、
部活動改革や教員の働き方改革などをはじめ
神奈川の教育・スポーツの将来展望について質疑いたしました。
皆様に森正明がどのような職務をしているのかを知って頂きたいと思いますので、
一部抜粋ではありますが掲載させて頂きます。
[ 平成30年3月12日 神奈川県議会平成30年第1回定例会予算委員会にて ]
私はかねてからスポーツ振興においては、時間、空間、仲間という三つの間、三間が重要であると申し上げてまいりました。
「2020年東京オリンピック・パラリンピック(以下、東京2020大会)」に向けては、時間、すなわち2020年という機会を与えられ、さらなるスポーツ振興の契機として、分水嶺とも言えるときであります。また、空間すなわち神奈川県として東京都に協力する形でかかわることになるなり、天運とも言える場をいただきました。 そして、仲間、すなわち優秀な指導奢を配置すること、スポーツを通じたチームメイトや家族との絆、よき仲間と環境があったからこそ、よい成果を残すのではないでしょうか。間の創出を意識しながら、東京2020大会を契機として、スポーツの意義というものをオリンピック後にどのように伝えていくのか、こういった観点で質問してまいります。
まず、体育センター、そして総合教育センターの再整備の関係についてでございます。この再整備は、老朽化対策はもちろんのこと、東京2020大会等での活用も視野に入れ、総額約260億円という巨額を投資してまいりました。これだけの大きなお金をかける以上は、 こうした間の重要性を意識しながら、整儷していくとも必要ではないかと考えます。
それでは、幾つか伺っていきたいと思います。
まず、体育センター再整備の考先方について確認いたします。
【日比野 教育施設課長】 体育センターの再整備は、施設の老朽化への対応はもとより、体育・スポーツ指導者の育成や未病を改善する取り組みなどに対応するとともに、神奈川パラスポーツ(障がい者スポーツ)推進宣言にのっとり、全ての県民の皆さんのスポーツ振興拠点として再整備を図っていくものです。また、東京2020大会の事前キャンプにも対応できるよう、スポーツ関連施設については、2020年3月の完成を目途に進めるほか、隣接する総合教育センターと一体的な整備を図るというものでございます。
【日比野 教育施設課長】 2020年3月の完成に間に合わせるため、整備手法としてPFI事業と県直営事業を組み合わせて進めています。
まず、PFI事業の状況ですが、現在施設整備のための設計を行っており、今年6月頃から第2アリーナ、プール楝などに順次着手する予定としています。県直営事業について は、球技場改修工事は既に完了し、補助競技場改修工事は年度内に完了予定でございます。 また、今定例会においてご審議いただいている陸上競技場等整備工事は、平成31年6月の完 成を予定しており、スケジュールとおり進んでいます。以上です。
【大塚 保健体育課長】 求められる役割、機能でございますが、体育、スポーツの範囲を広 く捉え、健康の維持増進の観点からのスポーツ活動及び障がい者スポーツを対象に加え、県の総合的なスポーツ推進拠点としての役割を担うこととしております。こうしたことから、スポーツ活動に対する医科学、泶養面からの支援、生涯を通じたスポーツ活動とスポーツを通じた健康づくりの推進、障がい者スポーツの活動機会の拡大、そして理解促進、こういった機能について検討してまいります。
【髙梨 教育局管理担当課長】 現在、学校体育に関する研修は、主に体育センターが行っております。今回の体育センターと総合教育センターとの一体的整備では、ハード面でもソフト面でも共通する機能を集釣して整備することとしております。亀井野庁舍で行っている特別支援教育の研修や体育センターで行っている研修をより効果的に進められるよう、そうした方向で 検討を行っているところでございます。
次に、教育研修という部分で関連の質問でありますけれども、今教員の働き方改革ということにも絡んで、国では部活動の改革ということも進められているのも承知しております。
日本は学校における運動部活動という世界に例を見ない世界に誇れるスポーツのシステムがあります。欧米では地域のスポーツクラブが中心となっており、日本でも総合型地域スポーツクラブを育成しようと取り組んでおりますけれども、学校の運動部活動との共存が必要と考えております。このたびスポーツ庁は、運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン(案)でありますけれども、策定をし、運動部活動の休養日について基準を設け、また本県においても平成30年4月から県立高校で部活動休養日を設定することであります。学校現場ではさまざまな意見があるように聞いておりますけれども、改めてその内容と考え方についてお伺いいたします。
【大塚 保健体育課長】 お答えいたします。部活動はスポーツ障害やバーンアウトの予防、生徒のパランスのとれた生活と成長の確保など、さまざまな観点や生徒の状況を踏まえ、適切な休養日等を確保することが必要であると考えています。また、国においてもスポーツ医科学の観点から、ジュニア期におけるスポーツ活動時間に関する研究では、少なくとも1週間に1から2日設けることと示していることを踏まえ、運動部活動ガイドライン(案)では、週当たり2日以上休養日を設けることとしています。こうしたことから、県教育委員会では県立高校の部活動では週当たり平日1日週休日1日 以上の休養日を基本に、年間52週として、平日及び週休日各52日以上に相当する休養日を設定いたします。
そこで、本県には野球やサッカー、ラグビーなど、全国制覇する私立高校があります。運 動部活動のあり方について、私立学校ではどのように対応していこうとしているのか、お伺いいたします。
【八尋 私学振興課長】 お答えいたします。スポーツ庁が現在公表しております運動部活動の在り方に関する総合的なガイドラインの案、こちらでは公立学校だけでなく私立学校も対象としております。
この案では、学校の設置者は設置する学校に係る運動部活動の方針を策定することになっておりますので、私立学校では各設置者がガイドラインにのっとり、学校の運動部活動の実態に応じた独自の運動部活動の方針を策定し、各学校で対応していくことになります。
また、競技によっては状況も違いますし、公立と私立の対応が違ってくると、より指導がエキサイトしていくという懸念もあります。今後は現場の声をしっかりと吸い上げながら、進めていただきたいというふうに思います。
次に、東京2020大会の準備についてお伺いをいたします。
2年後に迫った大会の成功に向けて、県がさまざまな取り組みをしていることは承知しております。一方では、別の観点からこのオリンピック、パラリンピックを見てみますと大変な課題にぶっかることになります。これは当局も承知をしていることと思いますが、東京2020大会の開催により、この期間に例年開催している諸大会の開催が危ぶまれているという現状がございます。まだ大きくは取り上げられていませんけれども、今後の調整は難航することが必至と考えています。
例えば、高校生の全国大会、いわゆるインターハイは2020、いわゆる2020年に北関東地区 で開催される乎定でありますが、開催が困難な状況と聞いております。その辺の状況についてお伺いをいたします。
【大塚 保健体育課長】 お答えいたします。
インターハイについては、当初北関東4県で全30競技を開催予定しておりましたが、オリンピックが開催される東京近郊のため、宿泊地等の確保が難しく、開催が厳しい競技もあり、全国各地に分散して開催しなければならない事態が生じました。
現在、北関東で11競技の開催が決まっていますが、その他19競技に関しましては全国に分散し、開催候補地の選定を進めているとのことでございます。
その内容は、2020年の鹿児島国体の関東ブロック大会は本県が会場になるということでした。この開催に向けて、課題認識及びその対応についてお伺いをいたします。
【江藤 スポーツ課長】お答えいたします。
例年、国民体育大会の関東ブロック大会は7月から8月の日程で30ほどの競技が開催されますが、2020年はちょうどこの時期に東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催されることに伴い、県内では競技会場、宿泊施設及び競技役員の確保が極めて難しく、またインタハイや全国中学校体育大会と関東ブロック大会の開催が重なった場合、高校生や中学生の一部の選手は出場が重複する可能性があるという課題が生じています。
こうした課題への対応についてですが、例年と異なり、開催時期の変更や他自治体での開催といった特別な対応を検討する必要があることから、関東ブロック大会を実施する県内競技団体の代表者などと現在協議、調整を行っているところです。今後、これらの関係競技団 体だけでなく、県体育協会や教育委員会、市町村などと連携をとって、調整を重ねてまいることとしております。
言い方は悪いですけれども、東京2020大会の開催によって、さまざまなしわ寄せがあるという事実であります。このしわ寄せは、オリンピック・パラリンピックへの出場を夢見る中学、高校生をはじめ、将来の日本代選手にも及んでいるという点を認識してほしいと思います。ぜびとも影響を最小限に抑えるべく、十分な対策を講じてほしいと要望いたします。
次に、オリンピック・パラリンピック後の体育・スポーツ振興について幾つかお伺いいたします。
1964年東京夏季、1972年札幌冬季、1998年長野冬季、日本ではこれまで3回のオリンピックを開催しています。私がいつも考えることは、過去、現在、未来のことであります。過去のオリンピック・パラリンピックで何が残ったか、それを財産に現在の東京オリンピック・パラリンピックをどう開催するのか、そしてレガシーとして未来に何を残してくれるのか、そこが最も大事なことではないかと考えております。
そこで、まず日本代表選手の活躍は国民に活力を与え、そしてその観点からも東京2020大会に向けての競技力の向上という点で、どのような取り組みを進めていこうとしているのか、お伺いいたします。
【江藤 スポーツ課長】 お答えいたします。
県ではこれまでも競技力の向上に向けて、国民体育大会での活躍の指標として、県体育協会を通じた競技団体への支援や競技力向上に必要な知識や技能、指導方法を学んでいただくための研修会を実施ずるなどの取り組みを行っているところですが、東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた競技力の向上の取り組みとしては、神奈川育ちのオリンピア 40人とパラリンビアン20人の出場を目指し、アスリートの競技活動を支援するため、費用面での助成を行っております。
大会に向けて、港、またその島を中心としたハードの整備をさまざまな準備が進んでいるということは承知しておりますけれども、セーリング競技の開催を契機として、本県に どのようなレガシーを残していこうとしているのか、お伺いいたします。
【三枝 セーリング課長】 お答えいたします。
オリンピックセーリング競技の江の島開催に向けて、県ではざまざまな恒久施設の整備を着実に進めております。例えば、新たに整備するセーリングセンター、これは仮称でございますけれども、このセーリングセンターの主な機能といたしまして、マストを立てたまま艇の整備や計測を行うことができる艇整備庫や江の島周辺の海面を一望して、レース全体の進行や安全管嗶を行う海面監視室を設ける予定でございます。このセーリングセンターの整備により、雨天のときの艇の整備、それから実技演習が可能となりまして、ジュニア等の次代を担うセーラーの育成拠点として、大いに活用したいと考えております。そのほか給油施設の整備などを行うことで、ヨットハーバー全体の利便性や安全性をさらに向上させる予定でございます。
こうしたことで、大会後も江の島ヨットハーバーがセーリングの拠点として、多くの県民の皆様がセーリングに親しみ、また国内外からの多くのセーラーでにぎわうように、ぜひしていきたいと考えております。
【焼石 オリンピック・パラリンピック課長】 お答えいたします。
再整備が行わ朴ている体育センターですが、事前キャンプが実施可能な施設として各国に対して紹介しているところでございます。宿泊施設を含め、国内競技を中心に複数の競技施設を備えた総合的な施設であり、各国に大いに関心を持っていただける施設であると考えています。今後も地元の藤沢市とも十分連携しつつ、積極的に誘致活動を行ってまいります。以上でございます。
【日比野 教育施設課長】 お答えいたします。
ラグビーワールドカップの公認チームキャンプにおいて、活用が想定されているドーム球技場については、既に基盤工事は完了じており、キャンプ地として決定された場合には、活用いただけるものと考えております。以上です。
来年には、アジア初めての開催となるラグビーワールドカップもあります。決勝戦を行う横浜国際総合競技場は、2002年FIFAワールドカップでも決勝の地でありました。二つのワールドカップ、いわゆるサッカーとラグビーのワールドカップの決勝戦がこの同じ場所で行わ れるということは、日本のほかにフランスのパリの近郊のスタジアムでありますスタッド・ド・フランスに続き、世界で2ヶ所目であります。このような歴史的な、そして大変貴重な会場に大きな大会を我々目の当たりにして観れるということは、我々が誇るべき栄誉だというふうに思っております。
そこで、ラグビーワールドカップ2019や東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会というスポーツのビッグイベントの開催を大会後の県民のスポーツの振興にどのようにつなげていくのか、知事の意気込みを教えてください。
【黒岩知事】 それでは、お答えいたします。
ラグビーワールドカップの決勝戦、そして準決勝戦、すばらしい試合がこの横浜で開かれるといったこと、それから東京オリンピック・パラリンピックでセーリング競技等々がこの神奈川で開かれるということ、これは我々が必死で誘致活動に取り組んできたその成果であります。それだけの機会を我々はチャンスを手にしたわけでありますから、これを最大限生かしていきたい、そのように考えているところであります。
それから、さきに閉幕しました(2018)平昌冬季オリンピック競技大会、これを見ておりましても、 すばらしいパフオーマンスと同時に、選手同士の心の交流も話題となりました。スピードスケート女子500メートルで優勝した小平選手、準優勝となった(韓国の)選手を抱き寄せていたわりの言葉をかける姿、これは美しいスポーツマンシップとして、世界中から賞賛を浴びました。
このように、スポーツのビッグイベントというのは、単にこの競技を楽しむだけでなく、 選手同士が勝敗を超えて織りなすドラマ、そういったものに触れることで、スポーツへの関心を高めることができる絶好の機会でもあります。
そこで、県では東京2020大会やラグビーワールドカップ2019に向けたスポーツへの関心の高まりをスポーツ振興につなげていくための取り組みに力を注いでいるところであります。
まず、ハード面としましては、体育センターの再整備のほか、湘南港のセーリングセンタ一新設、相模湖漕艇場や伊勢原射撃場の機能教科など、県民スポーツの拠点となる施設の整備を進めております。
また、ソフト面では親子ラグビー教室や(逗子・藤沢で開催されたヨットフェスティバル)「ENJOY海KANAGAWA」でのマリンスポーツ体験などを通じまして、誰もが親しめるスポーツ普及を進めています。さらに昨年3月にはスポーツ推進施策を市町村等と連携して進めるため、スポーツ推進条例を制定したところでもあります。ラグビーワールドカップや東京2020大会、こうして進めてきた県の取り組みを一気に開花させる号砲であります。県としては、今後こうしたハード、ソフトにわたる施策を着実に進めてまいります。
そして、市町村やスポーツ関係団体等としっかりと連携し、きめの細かいスポーツ施策を展開することで、両大会後のスポーツ振興にしっかりとつなげてまいりたい、そのように考えております。答弁は以上です。
そういう中において、神奈川県としても、知事はじめ本当に当局の皆様たちがこれを成功させるためには、さまざまなことをやっていかなければいけないという、そういう思いがひしひしと感じますし、これはぜひ成功していただきたいという思いで、この質問を取り上げたところでございます。
また、あわせまして選手の育成、これは先ほども質問してもらいましたけれども、部活動の問題もありますし、また選手がどうやってトップアスリートになっていくのかというお支えもしていかなければいけないわけであります。ここはぜひ専門家、スペシャリストの皆さんたちの力をかりて、引き続き応援をしていかなければいけないというふうに思っております。
それでは、今まで質問した中での要望のまとめをさせていただきたいと思います。
まずは部活動のあり方についてでありますけれども、国でもさまざまな議論がなされてきております。私は部活動というのは一体どういうところによさがあるのかということを考えてみました。
礼儀習得、そして仲間づくり、また学校の先生にしますと生徒指導、そして心身の鍛錬、また子供同士、教員と子供の信頼関係等が部活動にはさまざまな相乗効果の中で、 これまで学校教育において大きな役割を果たしてきたと承知しております。
例えば、授業は受けたくないけれども、部活動に行きたい。担任の先生に話せないけれども、部活動の顧問の先生には相談をしてみる。あるいは保護者にしてみると、自分の子供の活躍も大変うれしいことでありますけれども、自分の友達の子供が活躍することを大変自慢げに話している方もいらっしゃいます。そういうことから考えますと、今回の部活動改革の議論については、こういった子供や保護者の意見を反映させていることが少ないのではないかというふうに捉えております。
とかく政治の中においては、何か上のほうがやりやすいようにしてしまうけれども、実は一番対象にならなければいけないのは子供であります。そして、子供の保護者であります。 この部活動の改革について、しっかりとこの部分を入れ込んでほしい。取り入れてほしいということを要望させていただきます。
部活動は先ほども申し上げましたけれども、日本が世界に誇る教育文化であります。教員の負担といった課題はありますが、根気よく負担を軽減する取り組みをしながら、顧問の先生方など、指導者には頑張ってもらいたいというふうに思っております。
また、教員の働き方改革についてでありますけれども、教員の負担軽減だけではなく、子供や保護者のためだという視点を忘れないでほしいと思います。
それから、いよいよ東京2020大会が間近となって、その前の年であります2019年にはラグビーのワールドカップがあります。立て続けに行われるこのスポーツのビッグイベントは、日本にとって、そして本県にとって、スポーツの振興のまたとないビッグチヤンスであると思いますし、この機を最大限に生かさなければいけないというふうに考えております。
そうでない方もいらっしゃるかと思いますけれども、私たちの世代は東京オリンピックをかすかな記憶でしか覚えていません。そして本県にとって、このスポーツの振興にまたとないこのビッグチャンスを最大限に生かすためには、このオリンピックの自分たちが本当に目の当たりにして感じる感動、そしてこの喜びという機会をいただくことに、どれほど大きな価値があるかということを私たちは考えなければいけないというふうに思っております。
2020年に向けて、トップアスリートの育成は必要でありますけれども、大会を契機として、 スポーツの意義というものをオリンピック後にどのように伝えていくのか、オリンピックが終着点ではなく、神奈川にとって新たなスタートであるという思いであります。
私事になりますけれども、私は県議会議員になる前はアスリートでした。さらに引退後はプロの指導者をしておりました。また、(教員免許を取得しているので)教員ができる立場です。そして、親でもあります。
スポーツが関係している様々な立場の方の各々の気持ちがわかる立場でありますから、今後も冒頭申し上げました三つの間という重要性を伝えながら神奈川の教育とスポーツのさらなる発展に向けて、皆さんと協力をしながら、力を注いでまいりたいということを申し上げまして、質問を終わらせ ていただきます。
ありがとうございました。