県議会H15年度の月定例会報告

スポーツ振興・学校での運動部活動・教員の活用、
ホームレス対策/海岸の保全/グランドの芝生化についてなどを質問しました。
一部抜粋ではありますが、ぜひご覧ください。


1.教育問題について
 まず初めに、教育問題について数点お伺いをいたします。その第1は、スポーツ振興についてであります。私は、県議会議員になって以来、これまでも何回かスポーツの振興に関して質問をさせていただきました。それは、スポーツによりもたらされるさまざまな効果に、はかり知れない期待が持てるからであります。現在、国民の平均寿命は年々延びているわけですが、明るく豊かな生活を送っていくためには心身ともに健康であることが求められ、いわゆる健康寿命を延ばしていく取り組みが必要になってきます。私は、中でも基礎づくりの時期となる青少年期において、心と体の健全な育成を図ることが最も重要なことであると考えておりますが、現在の子供たちの生活を見てみると、いささかの不安を覚えるところであります。
 私たちが子供のころは、学校から帰るとランドセルを放り投げ、友達とあたりが暗くなるまで外で遊んでいました。ところが、今はどうでしょうか。IT社会を迎え、自由時間をテレビゲームやパソコンのインターネットに費やしており、体を動かすことが少なくなっております。文部科学省の調査によると、子供たちの体力や運動能力は長期的な低下傾向にあり、特に、全身持久力が低下しているという結果が出ております。
 また、校内や家庭におけるいじめや暴力行為、非行など、子供たちの問題行動は依然として多く見受けられます。こうした原因には、仲間との集団活動を通じて豊かな人間関係や、世の中のルールを学習する機会や体験が不足していることも考えられます。このほかにもさまざまな原因があるものと思いますが、子供たちの体力の低下、また犯罪の低年齢化などの課題を解決するにはスポーツしかないといったぐらいの強い気持ちを持っているわけであります。現在、学校運動部活動に加え、少年のスポーツクラブなど地域でのスポーツ活動も行われていますが、今後一層スポーツを通して青少年の健全育成を図っていく仕掛けが必要であると考えております。その一つの方策として、現在、地域におけるスポーツ活動を推進する仕組みとして注目されている、総合型地域スポーツクラブがあります。これは地域住民が主体となって運営する、多種目・多年齢層型の新しいスポーツクラブの形態で、地域コミュニティーの再生といった点でも効果が期待できるものであり、ぜひその育成に向けた取り組みを進めていただきたいと考えております。
 また、その際、このクラブの活動拠点として、学校体育施設の積極的な地域開放や、高校統合の跡地を活用するということも必要なのではないでしょうか。特に高校統合の跡地については、もともと子供たちの教育のために土地を提供した地主さんも多くいらっしゃると思われますので、今後もスポーツ振興などの公共的な目的に活用していくべきだと考えております。
 また、幼児や児童が安全で伸び伸びと活動し、強い体をつくるためには、グラウンドの芝生化が有効であります。この点につきましては、私のライフワークとして提唱してきたところであります。地球温暖化防止や癒しの観点からも重要な取り組みでありますので、ぜひ今後のスポーツ振興施策の中でも取り組んでいただきたいと考えております。

以上のような視点を踏まえ、今こそ子供から高齢者まで、だれもが明るく豊かで健康な生活を送れる「健康県かながわ」を目指し、スポーツ振興に本腰を入れて取り組んでいく必要があると考えますが、本県におけるスポーツ振興に対する知事の基本的な考え方をお伺いいたします。

◇学校での運動部活動について(森 質問)
 次に、青少年のスポーツ振興の充実の観点から、学校での運動部活動についてお尋ねをいたします。老若男女を問わず、スポーツにより体を動かす風景、あるいは競技等に真剣に取り組む姿勢など、スポーツをしている人の姿を拝見することば大変気持ちよく、私は、そうした方々を見るたびに知らず知らずのうちに応援をしてしまいます。学校においても、生徒が一生懸命スポーツに取り組んでいる姿は日ごろの授業とは違った表情や動きを見ることができ、私は、強い弱いに関係なく、いつも頑張ってほしいと思っております。
 こうした活動を通じてフェアプレーの精神や規範意識を身につけたり、お互いをたたえ、仲間を思いやる心、目標に向かって努力を積み重ねる力を養うなど、青少年の健全育成において、運動部活動の果たす役割の大きさははかり知れないものがあると考えます。特に、心身ともに成長期にある青少年のスポーツ活動の充実のためには、指導者が重要であり、運動部活動では顧問教員がその責務を担っております。しかしながら、顧問教員の高齢化や、専門的な指導ができる顧問教員が不足している現状を考えますと、今まで以上に地域の指導者を積極的に活用すべきではないでしょうか。地域には、たくさんのよい指導者がおられると思います。そうした地域の方々に顧問教員をしっかりとサポートする仕組みを充実させることが必要であると考えます。さらには、各学校においてさまざまな種目を指導していただいている地域の指導者の資質向上を図っていくとともに、公式戦での大会引率においても、顧問教員と同様の役割を担えるようにしていくことも必要であると考えております。こうした仕組みや環境を整えることにより、運動部活動がさらに活発化するのではないでしょうか。
 また、学校における運動部活動を支えている顧問教員については、生徒の意欲に応じた指導を行うために、時には練習が早朝や夜間に及ぶことなども相当あるわけでありまして、生徒の熱意にこたえるとともに、指導に当たる顧問教員への過度の負担を軽減させることへの配慮も必要であります。昨年の12月定例会において、教職員の自家用車による通勤や校内駐車のあり方について質問いたしました。環境問題や交通安全などの観点から、校内駐車を原則禁止するというような措置は必妻であると考えますが、一方で、ただいま申し上げましたような早朝や夜間まで部活動の指導に熱心に取り組んでいる顧問教員については、過度の負担軽減を図るという意味からも、校内駐車についての一定の配慮をすることも必要だと考えております。
 また、こうした配慮に加え、顕著な実績を上げた顧問教員を十分に評価し、処遇していくことも重要であると思っております。
 以上の点を踏まえ、県教育委員会として、頑張っている運動部の顧問教員をどのように支援していこうと考えているのか、教育長にお伺いをいたします。

◇教員の活用について(森質問)
 次の質問は、社会教育主事の資格を持ち、学校に在籍している教員の活用についてであります。「社会教育主事」という言葉、皆さんは余りお聞きになったことがないと思いますが、社会教育法により、都道府県及び市町村教育委員会に置かなければならないとされている専門的教育職であり、その職務は「社会教育を行う者に専門的・技術的な助言と指導を与える」というもので、生涯学習・社会教育行政を進めるかなめの役割を果たす立場にあり、また、その資格を有するためには、定められた講習を受講するなどの専門性を習得する一定の条件が必要とされています。現在、県教育委員会や県の教育事務所で発令を受け、社会教育主事という資格で活躍されている方が20名ほどいることは承知しています。
 しかしながら、その方々とは別に、県内の公立学校には社会教育主事の資格を持つ教員が、現在、管理職を含め450名以上いると聞いています。残念ながら、これらの方々は教員として職務をとられておられる中で、その専門性を十分に生かしている方はほとんどおられないと思います。私が以前PTAの会長をしていたとき、社会教育主事に家庭教育学級での講師やPTA活動に対する助言をしてもらい、大変助けられたことがありました。私は、こうした専門性を有する教員を、これからの学校数育と社会教育が連携・協力した学校づくりに有効に活用していくべきではないかと考えております。一方で、子供たちの現状に目を転じてみますと、いじめ、不登校、いわゆる学級崩壊や基礎学力・体力の低下など、さまざまな問題が深刻化されており、加えて、特に昨今は、凶悪犯罪の低年齢化が大きな社会問題となっております。こうしたさまざまな問題の背景には、学校、家庭、そして地域の教育力の低下があるわけでありまして、とりわけ学校では、地域のさまざまな教育力をより一層活用するとともに、地域に開かれた学校づくりを進めることがこれまで以上に求められております。こうしたことを円滑に進めていくためには、地域や保護者から信頼され、学校と地域双方の情報を持ち、課題やニーズを把握する、いわば学校と地域のつなぎ手となる人材の存在が何よりも必要だと思います。
 しかし、学校ではそのような人材の必要性を感じつつも、教頭などごく一部の教員が、学校内の職務の傍らにその役割を担っているのが実情であると聞いております。広い視野を持ち、学校と地域のつなぎ手となる人材をどのように確保していくのか。私は、その筈えは社会教育主事有資格者の教員の活用であると考えるのであります。
 しかし、残念ながら現状では、ほとんどの場合、学校においてその専門性を発揮できる状態にはないようです。多くの時間と費用を費やし取得した資格や、身につけた能力を生かすことができていないこのような状況は、県教育委員会にとっても、そして本人にとっても大変大きな損失であります。例えば仙台市では、嘱託社会教育主事制度を設け、教員の身分のまま学校に社会教育主事として配置し、学校教育と社会教育の両面で活躍できる道が開かれていると聞いております。本県の厳しい財政事情においては、新たな人的な配置までは難しいとしても、既に学校にいるこのすばらしい能力を持った人材を掘り起こし、有効に活用しようとする視点を持つだけで、できることは多いのではないでしょうか。
 未来を担う子供たちを豊かにはぐくんでいくことば、我々大人の責務であります。家庭、地域、学校が一体となってそのことを進めていくためにも、社会教育主事の資格を有する教員が、その専門性を学校現場で積極的に生かしていけるような方策を講ずるべきだと思うのでありますが、教育長はどのように考えておられるのか、ご所見をお伺いいたします。

>> スポーツの振興について(松沢県知事 回答)
 森議員の質問に順次お答えいたします。
 まず、スポーツの振興についてのお尋ねがございました。スポーツは、私自身ラグビーや野球などに若いころから親しんでまいりましたので、議員からお話のありましたスポーツの持つ効果やすばらしさにつきましては、身をもって感じているところでございます。知事として県民のスポーツを振興する立場に立ちまして、改めて行政の果たすべき役割の重要性を認識しているところでございます。現在、県といたしましては、県民のだれもが、いつでも、どこでも、いつまでもスポーツに親しむことができるよう、さまざまな施策を展開しているところであります。そうした中で、ただいま議員から具体的なスポーツ振興の施策について幾つかのご提案がありました。まず、総合型地域スポーツクラブにつきましては、青少年から高齢者までの幅広い年齢層による地域主導型のクラブで、地域コミュニティーの形成にも大変有効なものであると認識しております。県では、県民の皆様への普及・啓発やクラブ運営の核となる人材の育成など、クラブの育成を主体的に行う市町村等に対し、側面的な支援を行っているところであります。高等学校の跡地の活用につきましても、一つのご提案として受けとめさせていただきたいと思いますが、基本的には、県の跡地利用の方針に沿って全体調整を図ってまいることになろうかと考えております。
 また、学校のグラウンドの芝生化については、一部の市町村が取り組んでおり、県でも養護学校での取り組みを始めたところでありますが、これらの状況等を踏まえながら引き続き検討してまいりたいと考えております。
 以上、幾つかのご提案について考えを述べさせていただきましたが、県民のスポーツ活動に対するニーズも多様化してきておりますことから、今後、庁内はもとより市町村やスポーツ関係団体等との連携を強め、スポーツ振興により一層努めてまいりたいと考えております。

>> 運動部活動の顧問教員への支援について(曽根教育長 回答)
 教育関係についてお答えをいたします。
 まず、運動部活動の顧問教員への支援についてのお尋ねでございます。運動部活動は、教育活動の一環として教員が顧問となり、その活動を支えているところでございますが、近年、顧問教員の高齢化や、専門的な指導ができる教員が不足している現状がございます。こうした現状を踏まえまして、教育委員会といたしましては、顧問教員をサポートできるよう地域の指導者を部活動嘱託員として委嘱し、すべての県立高校に配置をしております。今後はさらに地域の方々や大学生などに学校支援ボランティアとしての協力もお願いし、顧問教員を支援していきたいと考えております。さらに、地域指導者の資質の向上を図るため、生徒指導上の配慮や活動中の事故への適切な対応などを内容とする運動部活動地域指導者講習会を開催し、修了者については顧問と同様に、生徒を引率し、公式大会に参加できるようにしているところでございます。

また、議員のお話にもありましたように、部活動指導が早朝や夜間に及ぶという実態もあり、顧問教員の負担軽減について配慮する必要がございますので、現在、原則禁止としております通勤用自家用車の校内駐車について、一定の配慮を行っているところでございます。さらに、学校道営に意欲的に取り組み、部活動等で顕著な実績を上げた教員を表彰することは、やる気を引き出し、学校の活性化にもつながりますので、県立学校の教員に対する表彰制度を早急に制度化してまいりたいと考えております。こうした取り組みによりまして、顧問教員の支援を充実し、より一層運動部活動の活性化を図ってまいります。

>> 社会教育主事の資格を持つ教員の活用について(曽根教育長 回答)
 次に、社会教育主事の資格を持つ教員の活用についてのお尋ねでございます。
 社会教育主事は、県や市町村の教育委員会に置かれている専門職員でありまして、市民や青少年に社会生活に役立つ知識を普及したり、今日では、市民主体の地域社会づくりの支援を行うなど、その時々のニーズに応じた役割を果たしてきております。
 近年、子供をめぐるさまざまな問題が深刻化しており、そうした課題の解決のためには、学校が家庭や地域社会とともに子供たちを育てていくことが大切であり、お話にもありました、学校と家庭、地域のつなぎ手として、双方の事情に通じている社会教育主事の資格を持つ教員の役割が大きくなってきております。
 このような教員には、学校と地域を結ぶ渉外的な業務を分担させたり、校内研修で講師を務めさせるなどにより、学校と地域の円滑な連携を担ってもらうことが必要と考えますので、市町村教育委員会と連携して、有資格者の活用を進めてまいりたいと考えております。
 さらに、より多くの教員が社会教育的な視野や考え方を持つことが重要であると考えておりますので、県立総合教育センターでの研修を充実し、社会教育に関する素養を持つ教貞の育成にも努めてまいりたいと考えております。以上でございます。

2.ホームレス対策について
◇ホームレス対策について(森 質問)
 質問の第2は、ホームレス対策についてお尋ねいたします。 近年の厳しい経済情勢等を背景として、都市公園、河川、道路、駅舎等を生活の場所として日常を送っているホームレスが存在し、特に大都市を中心に、近年では周辺の地方都市にまで広がりを見せるなど、大きな社会問題となっております。このような多くのホームレスの中には、自立の意思がありながらもホームレスとなることを余儀なくされた方々も数多くおり、健康で文化的な生活を送ることができないでいることに加え、地域社会とのあつれきが生じつつある現状を把握し、昨年の8月7日にホームレスの自立の支援等に関する特別措置法、いわゆるホームレス自立支援法が公布、施行されたところであります。このホームレス自立支援法により、厚生労働省ではホームレスの自立の支援等に関する施策を策定し、実施するに当たり、まず、ホームレスの実態に関する全国調査を平成15年1月から2月にかけて実施したところ、全国では2万5,296人と非常に多くのホームレスが確認されております。中でも-番多かったのは大阪府の7,757人、次いで東京都の6,361人となっており、本県は、3番目の愛知県に次いで1,928人と、全国で4番目に多い都道府県となっております。そこで、私の住んでいる平塚市を見てみますと、川崎市、横浜市に次いで3番目に多く、その数は112人となっております。
 また、藤沢市、茅ヶ崎市を含めた湘南海岸一帯の地域で見ますと、200人を超える数多くのホームレスが確認されており、平成13年9月に行われた実態調査と比べると、約19%も増加しております。このように多くのホームレスが確認されている湘南海岸は、相模川など地理的条件を背景として、四季を通して温暖な気候に恵まれ、大変住みやすい環境であり、さまざまな地域からホームレスが集まってくるのではないかと推定されるところであります。

こうした全国調査の結果を踏まえ、厚生労働省と国土交通省から去る7月31日に、法律に基づくホームレスの自立の支援等に関する基本方針が告示され、今後、都道府県及び市町村では、必要に応じてこの基本方針に即した実施計画を策定することとなっておりますが、特にホームレス対策は、ホームレスがみずからの意思で安定した生活を営めるように支援することが基本でありますし、そのためには就業の機会を確保することが最も重要であり、あわせて安定した居住の場所の確保や保健、医療の確保などが必要であると思われます。これらの対策は、どれ一つ欠けても本当の意味での支援に結びついていかないことや、さまざまなニーズを的確に受けとめるためにも、関係部局が連携して効果を高めるような仕組みづくりが必要であり、また、それぞれがホームレスの問題をしっかりと受けとめ、ホームレスの自立支援という視点に立った施策を実施していくことが必要ではないでしょうか。
 また、居住場所をさまぎまに変えながら移動することができるホームレスの特質を踏まえると、1市町村だけの取り組みにはおのずと限界があることから、広域的な自治体としての県が果たす役割も大きいものと考えます。こうした対策を進めていくに当たり、これまでも、県民から見てみますと、ホームレス問題についてどこに相談をしてよいのかなかなかわかりづらいので、県民の目にもわかるよう、例えばホームレス対策班といった、対応する部署をはっきりと打ち出していくことも必要だと考えます。そこで、今回の国の基本方針を踏まえて、今後、ホームレスの自立支援対策を進めるに当たりどのように取り組んでいこうとされているのか、知事のご所見をお伺いいたします。

>> ホームレス対策について(松沢県知事 回答)
 次に、ホームレス対策についてのお尋ねをいただきました。本県では、これまでも庁内横断組織のホームレス対策推進調整会議や、関係市町村とで構成をするホームレス問題県市町村連絡会議を設置し、ホームレスの現状等をめぐる情報交換や問題点について共通の認識を持つように努めてまいりました。この取り組みの一環として、市町村を初め公園、河川等の管理者などと連携を図りながら、現在、巡回相談事業を行っており、健康状態が悪化している人の早期発見や保健・医療などの緊急援護、生活保護の適用など、自立支援につなげているところであります。こうした中で、国においては、昨年施行されました、いわゆるホームレス自立支援法を受け、本年7月にホームレスの自立の支援等に関する基本方針を告示したところであります。
 この基本方針では、全国実態調査の結果から「就労意欲はあるが失業状態にある」あるいは「医療、福祉等の援護が必要」さらには「一般社会から逃避している」といった、それぞれのホームレスの類型や背景を踏まえた対策が必要としております。
 そこで、県といたしましては、今後、県、市町村を通じた幅広な対策等を展開するための基本となる実施計画の策定を考えております。具体的には、まず生活保護の適用や保健・医療の確保など緊急的に必要な援護に取り組むほか、生活相談にも力を入れながら、ホームレス白身がみずからの意思で安定した生活を営んでいくよう就労に向けた支援や住宅情報を提供し、移住の促進を図る一方、高齢、障害等により自立が困難な方には社会福祉施設への入所につなげるなど、さまざまな支援のあり方を検討しているところであります。こうした施策を進めていくに当たっては、国、県、市町村がそれぞれの役割分担のもと、また、庁内においては関係部局が互いに連携し、民間団体とも協力しながら、ホームレス対策が円滑に進むよう取り組んでいく必要があると考えております。
 また、ホームレス問題の担当部署については十分に周知を図るとともに、わかりやすい部署名ということにつきましても、ホームレス対策を進めていく過程の中で、今後、検討してまいりたいと思います。

3.海岸の保全について
◇海岸の保全について(森 質問)
 質問の第3は、海岸の保全についてお尋ねをいたします。我が国は四方を海に囲まれ、入り組んだ複雑な海岸線を有することから海岸の延長は極めて長く、3万5,000キロメートルにも及びます。
 また、我が国の海岸は地震や台風などの厳しい自然条件にさらされており、私たちは、長年にわたり海岸法のもとに、海岸の背後に集中している人命や財産を災害から守るとともに、国土の保全を図ってきたわけであります。海岸法は、災害から海岸を防護することを目的に昭和31年に制定されましたが、平成11年5月に43年ぶりの大幅な改正が行われ、その目的は、従来の「海岸の防護」に加え「海岸環境の整備と保全」「海岸の適正な利用」の3本柱になりました。本県の海岸の課題を見てみますと、「海岸の防護」の面では、相模湾の浸食は昭和40年代から急激に目立つようになり、現在では海岸そのものが失われている地域もあり、この対策は時間も経費もかかりますが、着実に推進しなければなりません。
 また、「自然環境の整備と保全」の面では、例えば真鶴海岸に見られますように、本県には多くの砂浜や岩礁などの美しい自然海岸が残されており、これを永続的に保全していく必要があります。
 また、「海岸の適正な利用」の面では、レクリエーション利用者の増加や多様化に伴い、騒音やごみ捨て防止のためのマナーの啓発など、多くの課題を抱えております。申すまでもなく、海岸については多くの県民が高い関心を持っているところですが、海岸法の改正の内容まではなかなか承知されていないのが現実だと思います。そこで、まず、海岸法が改正されたことに伴い、県の海岸保全の基本的な考え方がどのように変わったのか、知事にお尋ねをいたします。続いて、海岸の管理につきまして、日ごろから感じていることについて話をさせていただきたいと思います。本県の海岸を見てみますと、その地形から東京湾と相模湾の二つに分かれますが、とりわけ相模湾沿岸は変化に富んだ美しい海岸で、その延長は147キロメートルにも及びます。この膨大な海岸を県と市町の行政が適正に管理するにはおのずと限界があり、地元を中心とした住民の参加は欠かせないものとなっております。一例で申しますと、海岸の美化清掃が挙げられます。これは本県の先進的な社会実験であります「サーブ90」の財産の一つでありまして、県と沿岸の13市町が協調してかながわ海岸美化財団をつくり、美化清掃を実施しているわけですが、これとは別に、年間を通じて10万人を超える住民の方々が美化清掃のボランティアとして積極的に参加し、大きな成果を上げております。これは、いかに多くの県民が海岸を愛し、海岸を大切に思っているかのあらわれであります。この思いは私たちも同じで、先日、相模湾沿岸5名の先輩議員の皆様とともに海岸についての意見交換を行いました。その中で、住民参加の重要性、そのための市町を含めた住民窓口の一元化、相模湾沿岸の一体化、総合的な管理が喫緊の課題であり、海岸法改正の趣旨にものっとっているとの認識で一致いたしました。地方公共団体の長である知事として、行政のスリム化による湘南なぎさ事務所の見直しも必要でありましょうが、一方では海岸管理者の知事として、この喫緊の課題に対する体制整備、組織の充実の重要性につきましても十分なご認識をいただきたいと考えております。
 次に、魅力ある海岸づくりの取り組みについてお尋ねをいたします。
 相模湾の中央を占めている湘南海岸でありますが、言うまでもなく、日本で最も有名な海岸であります。ことしは冷夏のため、海水浴のお客は少ないと聞いておりますが、例年は400万人を超える人出で賑わうわけで、これは古都・鎌倉、温泉地・箱根と肩を並べる本県有数の観光資源であります。
 また、紺碧の海と砂浜、富士山を背景とする風光明媚な海岸は、昭和62年に「日本の白砂青松百選」にも選ばれておりますが、この美しい景観や砂浜、海岸を好む動植物を初めとしたた多様な生態系は、首都圏における貴重な自然環境の資源となっております。これらの貴重な資源は、私たちが責任をもって次世代に引き継がなければならない重要な財産であります。県の湘南海岸に対するこれまでの取り組みとしては、砂防林の整備が挙げられます。昭和3年に初めて松が植樹されて以来、飛砂や塩害の厳しい自然の中で、多くの人々の努力と工夫によって育て、守られてまいりました。
 また、茅ヶ崎海岸や平塚海岸におけるヘッドランド工による砂浜の回復も挙げられます。
 昨年、平塚海岸では、35年ぶりに海水浴揚が再開されるまで回復したわけで、これらの施設整備による効果は十分に評価されるものであります。さらに、湘南海岸は、茅ヶ崎の浜降祭や大磯の左義長に見られるよう、古くから地域社会における祭りや行事の場として利用されており、地域文化の形成や継承に重要な役割を果たしてきました。
 近年は人々のニーズも多様化しており、平塚のビーチカーニバルなどさまざまなレジャーやスポーツ、体験活動、学習活動の場として数多く利用されてきておりますが、海岸全体をとらえてみると夏場の海水浴が中心であり、年間を通しての利用はつりやサーフィンにとどまっており、残念でなりません。
 しかし、地元に利用できる海岸がほとんどない東京や埼玉などから見ますと、神奈川の海岸は大変魅力あるもので、レクリエーションの場だけではなく定住の場として考える方も少なくないと聞いております。私は、より多くの県民が海岸を訪れ、親しむことで、もっと海岸のよさ、その魅力を知っていただければと考えております。
 そこで、最後に、神奈川の魅力ある海岸づくりに向け、今後、知事はどのように取り組まれていくのか、その考えをお伺いいたします。
 以上をもちまして、私の第1回目の質問を終わります。ご清聴まことにありがとうございました。

>> 海岸の保全について(松沢県知事 回答)
 次に、海岸の保全につきまして幾つかお尋ねがありました。
 近年、海岸環境への意識の高まりや海洋性レクリエーション需要の増大に伴いまして、海岸の整備と管理の一層の充実が必要となったことを背景といたしまして、海岸法の一部改正が行われたところであります。この海岸法の一部改正の趣旨は、議員のお話にもありましたように、海岸の防護に加えて海岸環境の整備と保全、海岸の適正な利用とのそれぞれの調和を図り、総合的な海岸の保全を推進するというものでございまして、県といたしましてもこの法改正の趣旨を踏まえ、ハード、ソフトの両面で大きな施策の転換を図っているところであります。
 基本的な考えといたしましては、例えば護岸の整備などハード面では、既に本県は一部先行して取り組んでまいりましたが、従来の直立護岸や波消しブロックなどによる、いわゆる線的防護だけではなくて、沖合に人工的なリーフを設置するとともに養浜を実施するなど、また、護岸につきましても利用面や景観にも配慮した構造とするなど、これらの施設を組み合わせた、いわゆる面的防護へと整備の幅を広げて、砂浜の保全や回復を主体とした海岸整備への展開を因っていくということを基本として取り組んでまいりたいと思っております。
 また、ソフト面では、計画の策定段階から市民や住民の皆様の参画をいただくことが重要となりましたので、新しく策定する相模灘沿岸海岸保全基本計画では、その検討の過程の中で、住民懇話会の開催や計画原案の閲覧など住民の皆様の意見を幅広くお聞きする機会を新たに設け、現在、計画への反映に努めているところであります。

今後ともこのような海岸法の改正の趣旨を生かしまして、住民の皆様の意見を十分伺った上での計画づくりをもとに、自然環境に配慮した施設整備を行うなど、防護、環境、利用の調和のとれた海岸づくりを目指してまいりたいと考えております。
 最後に、魅力ある海岸づくりに向けた今後の取り組みについてのお尋ねがございました。本県の海岸は、近年におきましても高潮や高波によって道路が冠水したり、地域が浸水するなどの被害をたびたび受けておりますし、茅ヶ崎海岸や平塚海岸などでは砂浜の浸食が進んでいるといった実態があります。
 また、海岸におきましてはイベントやレクリエーションなどでさまざまな利用が行われる反面、増加する利用者によるごみの放置など、マナーの低下による周辺環境の悪化が危惧されておりますし、海岸の利用についても漁業者と一般利用者との調整など、海岸保全上、多くの課題があることが現状でございます。そこで、今後の海岸保全の取り組みにつきましては、現在、地元の市町と住民の皆様の参画を得て策定を進めております海岸保全基本計画に基づきまして、豊かな自然と悠久な歴史、文化を守りながら、それぞれの海岸に適した総合的な海岸の保全を推進するということを基本として進めてまいりたいと考えております。少し具体的に申し上げますと、例えば砂浜の海岸における整備に当たりましては、砂浜の回復と生態系にも配慮した人工リーフなどによる浸食対策を進めたいと思っておりますし、一方で、岩礁の海岸では、コンクリートブロックではなく自然石を利用した施設や磯の再生などを実施するなど、自然回復型の海岸整備を進めていきたいと考えております。
 また、海岸を魅力あるものとして親しんでいただくためには、美化清掃が不可欠でありますので、県では沿岸13市町と協調して平成3年に財団法人かながわ海岸美化財団を設立し、多くのボランティアの方々にも協力をいただきながら、海岸清掃活動や、訪れる方々への美化の啓発等に努めているところであります。議員のお話にもありましたが、本県の海岸では左義長や浜降祭など数多くの祭りが現在でも行われているという伝統がありますし、中でも大磯海岸は、昔は「浜湯治」と言われる海水浴の発祥の地であるという歴史も持っております。さらに、本県には、多くの文人が海岸沿いで過ごし、文学の発展に寄与するなどの文化的背景と特徴を有する海浜が数多くございます。今後の海岸の整備に当たりましては、このような長年にわたってはぐくまれてきました地域ごとの個性や文化を守り、引き継ぎながら、だれもが安全で安心して過ごすことができ、しかも身近に自然とふれあうことができる、そのような神奈川の魅力ある海岸づくりを目指して努力していきたいと考えております。以上が私からの答弁であります。

4.追加質問
◇グランドの芝生化について(森 質問)
 時間の都合もございますので、自席から再度質問させていただきたいと思います。知事、また教育長、ご答弁いただいたんですけれども、知事におかれましては大変、私の質問を復唱していただいただけの答えでありまして、ある意味では、何か進展というか、私が期待をしていた答えが出てこなかったことは大変残念であります。知事もスポーツをやられていたということで、スポーツマンという認識でお何いをしたところですけれども、まず、芝生化の問題ですけれども、知事が土のグラウンドで転んだこともあるでしょう。痛かったでしょう。私もずっと土のグラウンドでやっていたときには大変、けがもしたり、また、やる気をなくしたりしたこともございましたけれども、芝生の中でプレーをすると、また新たな発見というものもございます。今、子供たちに叫番必要な教育的なことで言いますと、指導者の養成と環境整備だというふうに考えております。特に指導者の養成については、講師を招いたり、また勉強会を開いたりしてのレベルアップを図っているわけですけれども、環境整備については、これはどうしてもハード面が必要になってくるわけでございまして、スポーツマン、ラガーの新松沢知事に、ぜひこの芝生のことを推進をしていただきたい。
 また、前岡崎知事のときにも私は、ライフワークとして、私が議員をやる以上はずっとこの芝生化を言っていくというお約束をしたところでございますので、どうぞご配慮をお願いしたいと思っております。

◇ホームレスについて追加質問(森 質問)
 また、2点目のホームレスのことでございますけれども、ホームレスについては私、質問、提言を交えながらお話をしたわけですけれども、例えば平塚市にホームレスがいて、そのホームレスの方を追い出すという形になると、当然大磯あるいは秦野、厚木に行くわけでして、そういうことから考えますと、やはり県が広域的にその対応をしていかなければいけないかと思います。そういう意味で、ホームレスの対策班、あるいは名称は別としても、県民がどこにホームレスについての問い合わせをしたらいいかという、その部署をつくったらどうかという質問だったものですけれども、その答えがいただけなかったので、そのことについてお答えをいただければと思います。
 また、そのほかについては常任委員会、また特別委員会で先輩方とともに協議をして、頑張っていきたいと思っております。

>> グラウンドの芝生化について(松沢県知事 回答)
 森議員から質問をいただきました。
 まず、グラウンドの芝生化についてでありますけれども、森議員はサッカーを、私はラグビーをずっとやっておりましたので、芝生のグラウンドでプレーするのは夢でした。そういう意味で、私も多くの青少年たちに芝生のいい環境のグラウンドでプレーしていただくということができれば、これはすばらしいことだなと思っておりますし、その芝生のグラウンドを推進していくことば決して反対ではありません。ただ、さまざまな難しさもあるのも事実だと思います。一つは、維持管理がものすごくかかる。それは人的にも、費用の面でもかかるということと、それと、その維持管理も、今、学校で使うとしたらかなりの頻度で使いますから、芝生がはげやすい、こういう部分も出てきますし、今度その芝生がはげないように保護をしますと「何でグラウンドなのに、さくをつくって使わせないのか」という反発も来たり、こういう細かな難しさもあるようであります。さらには、学校のグラウンドをすべて芝生化をしてしまうと、私もちょっと聞いた話なんですが、その芝生化を好まないスポーツの活動の方から「それは困る」という反対もあるというふうに聞いております。実は1970年代の最初に、この芝生化の第一次ブームがあったそうであります。神奈川県でもかなりの学校が芝生化に挑戦をいたしました。そういう中で、例えば環境面ではほこりが出ないとか、さまざまなメリットも指摘されて、子供たちも芝生を使えた部分があったんですが、こうしたトラブルがかなりあったということで、あと、学校内でこの芝生化について、例えば野球ですとかハンドボールですとか、独自に全部別々にグラウンドがあればいいですが、学校の場合は一つのグラウンドを多目的に使うので、全部芝生化されたら絶対に困るという意見もあったそうで、こういうところもしっかりと調整した上でやっていかなければいけない。ただ、私としては、芝生化というのはもう大賛成ですし、そういう方向でいけるように今後とも県でも検討していきたい。ただ、私は、そういう難しい面があって70年代の第一次ブームは非常にトラブルが起きて、結果的にはほとんどの学校があきらめてしまったということもあったそうで、その反省をもとに、今後はきっちりと実現できるように推進していくということが重要だというふうに思っています

>> ホームレスの対策(松沢県知事 回答)
 二つ目の、ホームレスの対策でありますが、議員ご指摘のように、ホームレス対策班というような県の窓口をつくっていく、これはぜひとも検討させてください。
 その中で、今、ホームレスについては法律もできましたが、国、それで市町村、その間に立って県がどういう役割分担をするのかというのが、まだ詰め切れていないというのが現状であります。当然市町村と国とも相談して、その中で県の役割を明確化させて、そして、そこで必要であればしっかりとした窓口をつくる、あるいは行政の部署もつくっていく、こういう方向は望ましいと思いますので、ぜひとも今後の検討にさせていただきたいと思っております。以上です。

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