県議会H20年度の月定例会報告

平成20年6月県議会定例会にて質問しました。
皆様に森正明がどのような職務をしているのかを知って頂きたいと思いますので、
一部抜粋ではありますが掲載させて頂きます。

1 知事の政治姿勢について
(1) 「地方分権改革の基本的な考え方について」

地方分権改革推進委員会の第1次勧告は、市町村の権限を強める方向が明確に示された点で、分権改革を一歩前進させるものである。しかし、国から地方自治体への権限移譲に対する各省庁の抵抗が大変強く、結論が先送りされた課題が多い。知事には、今年は分権改革の正念場であるとの強い決意を持って、積極的に取り組んでもらいたい。
そこで、今回の地方分権改革推進委員会の勧告をどのように受けとめているのか、また、各省庁の対応は依然として消極的なことを踏まえると、今後の改革の推進に向けて、地方からの積極的な取組みが必要と考えるが、本県としてどのように取り組んでいこうとしているのか伺いたい。

地方分権改革推進委員会の第1次勧告では、都道府県の処理する権限のうち 359事務を市町村に移譲すべきという内容が盛り込まれている。一方で、今後も積極的に条例による事務処理特例制度による権限移譲を推進していくことが求められている。本県では権限移譲を進めているが、4月1日現在の事務処理特例制度の活用状況は、法律数でみると全国10番目である。そこで、こうした本県の現状について、どのように認識しているのか、また、市町村への権限移譲について、第1次勧告を踏まえ、どのような点を課題と捉え、今後どのように市町村への権限移譲を推進していこうと考えているのか併せて伺いたい。

(2) 「自治基本条例(仮称)」について

「神奈川県自治基本条例検討懇話会」には住民や県議会議員が参加していない。
この条例は、「議会の責務」を定める部分があるにもかかわらず、知事が委員を選び、設置した懇話会で検討し、知事が報告を受ける、という方法そのものに疑問を抱く。「条例第二次素案」は同検討懇話会の報告書を根底に整理したことは明らかで、恣意的な整理が行われたことは驚きである。こうした手法を容認すれば、二元代表制の実は失われてしまうのではないかと危惧する。そこで、自治基本条例の制定に向けてどのような経緯で、条例検討懇話会が置かれることとなったのか、また、懇話会の報告書を踏まえて、現段階では「条例第二次素案」ということになっているようであるが、この素案について、どのように評価しているのか伺いたい。
県議会が自律的に定めるべき「議会の責務」や権限に関わる事項について、知事の設置した懇話会が示した枠組みに沿って整理することは、地方自治の本質に関わる配慮を欠くし、また憲法や地方自治法が原則としている団体自治や住民自治の制度的な保障を代表民主制に求め、首長と議員を住民の直接選挙によるとしていることからも十分な配慮が必要である。そこで、知事は、日頃から地方自治のあり方や将来について意見を開陳しているが、これから制定しようとしている自治基本条例の根幹に関わる問題として、地方分権改革を見据えて、現在の地方自治制度、特に、二元代表制についてどのように考えているのか、県政運営に責任のある立場にある知事としての考えを伺いたい。

2 平成20年度の県税収入の見通しについて
我が国経済は、原油価格高騰の加速感に加えて、様々な商品の値上げが相次いでいる。企業収益については、財務省によれば、景気動向について、「このところ足踏み状態にある」との認識を示し、先行きについても、米国経済の後退懸念や株価・為替・原油動向の不透明感から「下振れリスクが高まっている。」と指摘している。厚生労働省では、雇用情勢に対する基調判断を「要注意」と7か月ぶりに下方修正するなど、企業・家計ともに悪化が続いている。このように、最近の経済情勢は厳しさが増しており、これらを反映する県税収入の動向を大変危惧している。そこで、当初予算成立後の最近の経済情勢や企業動向等を踏まえ、平成20年度の県税収入の現時点での見通しについて伺いたい。

3 羽田空港の再拡張・国際化の推進について
(1) 国土交通省は、「首都圏空港における国際航空機能拡充プラン」で、羽田空港の再拡張で導入される国際便を大幅に増やすなどの方針を表明した。国際経済競争が激化する中、我が国が生き残っていくためには、首都圏の空港機能の強化は不可欠である。羽田空港の国際化を大きく前進させる舵を国土交通省が切ったことは大英断であった。
そこで、国土交通省が発表した今回の「首都圏空港における国際航空機能拡充プラン」について、どのように受け止めているのか、また、羽田空港の再拡張・国際化の推進に向けて、リーダーシップを発揮していくことが必要であると思うが、どのように取り組んでいくのか併せて伺いたい。

(2) 知事が国土交通省に提案活動をした際の記者会見で、「羽田を拡張すればするほど、騒音の問題にあたる。羽田をどんどん大きくするのであれば、当然、騒音の問題を自分たちも受け入れるという覚悟を持って進めていかなければならない」と発言したとの報道があった。本年9月には横田空域の一部が返還され、また、羽田空港の再拡張により、航空機の発着回数が増大することになれば、騒音問題がどうなるかは大変大きな問題である。そこで、この騒音問題について、どのように考えているのか伺いたい。

4 食の安全・安心に係る推進方策について
国では、消費者庁構想や食品表示を一元化した法律の制定など、食の安全・安心の枠組みを超えた仕組みづくりが検討されている。昨年、県が実施した「食に関する意識調査」では、90%の県民が「食品について不安を感じる」と回答している。その後の事件の発生によって、さらに多くの県民が不安に思っているのではないかと思う。実際に、食の安全・安心に関する県の取組みの充実強化を求める大規模な署名活動が行われていると聞いており、食の安全・安心の確保に対して、多くの県民が新たな取組みを求めているものと確信している。そこで、我が会派としても、食の安全・安心の条例制定の必要性について、かねてから検討しているところであるが、昨今の状況から、県の施策として条例制定に取り組むべきと考えるが見解を伺いたい。

5 大規模地震対策について
(1) 四川大地震の教訓として、避難所の重要性はもとより、避難生活をしている方々への水や電気、トイレ等の供給の重要性を読み取るべきである。本県では、公的施設を中心に避難所を指定しているが、大規模地震発生により、施設自体が使用不能となることは少ないものと考える。しかし、避難所自体が無事であっても、避難所としての機能を十分に発揮するためには、電気や水道、ガスなどのライフラインやトイレなどの機能が維持されていなければならない。そこで、被災者が集まる避難所において、万が一、電気や水道、ガス、さらにトイレの供給や使用ができなくなった場合、県として、避難所の機能を確保するために、どのように取り組もうとしているのか伺いたい。

(2) 四川大地震では、四川省内だけでも、倒壊した学校の校舎は約7千棟といわれ、多くの児童・生徒の命が失われた。文部科学省の調査では、本県市町村の公立小中学校の耐震化率は全国1位であったが、公立高校の耐震化率は全国平均を下回っている。大規模地震発生の切迫性が言われている本県の県立高校の耐震化対策が未だ終了していないことは重大な問題である。「まなびや計画」は10年間で、耐震化対策・老朽化対策を進めるものであるが、もっと耐震化対策を前倒しして、早期に耐震化対策を終了するように見直しが必要である。そこで、計画の見直しを含め今後どのように県立高校の耐震化を進めていこうとしているのか伺いたい。(教育長)

(3) 災害発生時には、県は、被災の状況や応急対策の状況などの情報を、マスコミや県のホームページを活用して、広く県民に伝達することとし、市町村は、防災行政無線の同報無線や広報車などを使用するとともに、地域のコミュニティーFMなどを活用して、避難所の状況など地域に密着した情報を提供すると聞いている。県内のコミュニティーFM局や県全域をカバーするFM局が連携し、情報を共有する体制を整えておけば、災害時には各地域の情報が県内どこでも得られる。そこで、県は、地域に身近なコミュニティーFM局の特性を活かすため、地域FM局の有効な活用方策を検討し、県域をカバーするFM局との連携を図りながら災害発生時における県民への情報伝達の仕組みを整えるべきと考えるが見解を伺いたい。

6 環境問題について
(1) 本県では、「2010年までに県内のCO2の排出量を京都議定書の基準年1990年の水準までに抑える」との目標を立てているが、現時点で目標達成は厳しい。着実な温室効果ガスの削減を図るためには、県民や企業を巻き込みながら、県としても早急に、より実効性のある対策を実施することが必要である。そこで、現在検討している「地球温暖化対策推進条例(仮称)」にもそうした実効性のある対策を盛り込む必要があると考えるが、条例の検討状況とともに見解を伺いたい。

(2) 「クールネッサンス宣言」を具体化させるためのリーディング・プロジェクトの県庁エコ化プロジェクトでは、県庁舎の屋上への太陽光発電システムの設置や県有施設の電球形蛍光灯への切り替えなどの取組みが示されている。県の率先実行の取組みを、さらに効果的にPRしていくことで、県民のエコ活動に弾みがつく。そこで、県の率先実行としての地球温暖化対策の取組状況について伺うとともに、どのように県民に対して効果的なPRをしていくのか見解を伺いたい。

(3) 自力で地球温暖化対策や環境対策の研究などに取り組める大企業に比較して、人材や設備等の経営資源が不足している中小企業への支援は県としての重要な責務である。
地球温暖化対策や環境対策は中小企業に負担を強いるが、新たな環境技術分野のビジネスが創出されるチャンスでもある。環境負荷の少ない生産技術や、水処理技術、廃棄物処理技術、リサイクル技術などの重要性は今後増加する。そこで、地球温暖化対策に限らずに、環境対策の研究や技術開発に取り組んでいる中小企業者への支援策を充実させることが重要と考えるが、県としてこれまでどのように取り組んできたのか、そして今後どのように取り組んでいくのか伺いたい。

7 教育問題について
(1) 不登校やいじめといった深刻な問題を解決する一つの方法として、スポーツを通じた活動が有効である。スポーツは礼節や克己心、フェアプレーの精神を養い、仲間との触れ合いを通じて他者との協力関係を学ぶなど、心身両面で幅広い効用がある。できるだけ多くの子どもたちに、運動部活動への参加を促進し、児童・生徒の健やかな心身の育成を図り、子どもたちが明るく元気で楽しく過ごすことのできる学校をつくっていくことが求められている。そのためには子どもたちがいつでも気軽にスポーツに親しむことができるしくみを整えていくことが重要である。そこで、学校においてスポーツの振興を図るためには、運動部活動への参加を促進する必要があると思うが、県立高校においてはどのように取り組んでいこうとしているのか伺いたい。(教育長)

(2) スポーツの世界と同様に教育、特に学校教育にも優れた指導者が不可欠である。教職員には、教育に対する情熱はもとより、これまで以上に幅広い視野を持ち、変化に柔軟に対応できる力とともに、豊かな社会性や人間性なども備えた「総合的な人間力」といったようなものが求められている。学校や教職員の役割とは、児童・生徒が学校生活の中に楽しみややりがいを見いだし、それをきっかけに自分の個性や能力を伸ばしていけるよう支援することである。そこで、教職員が「総合的な人間力」を高めるとともに、それぞれが持つ個性や専門的な能力を、さらに伸ばすことによって、子どもたちから信頼され、学校現場で力を十分発揮することが大切だと考えるが、教職員の人材育成についてどのように取り組んでいくのか伺いたい。(教育長)

8 安全・安心の確保について
(1) 刑法犯認知件数は5年連続減少しているとはいえ、県民の身近なところでの凶悪事件が数多く発生している。客観的な統計数値が示す数値治安とは別に、体感治安の向上を警察に何とかして欲しいという気持ちが大きい。警察が主導的な立場に立って県民や関係機関・団体等とタッグを組んで、社会的な危機を何とかしてもらいたい。そこで、県民の体感治安を向上させるために、県警察としてどのような取組みが必要と考えているのか伺いたい。 (警察本部長)

(2) 刃物や銃器を使用した犯罪や硫化水素自殺事件による2次的被害、さらには北海道洞爺湖サミット開催を控えてのテロ事件の発生等が懸念される中、危険な現場に真っ先に駆け付けて、県民の命を守るのが警察官である。警察官の安全を確保するための装備は必要不可欠であり、充実した装備品があってこそ警察官の士気の高揚にもつながる。そこで、凶悪犯罪や特殊な犯罪等から警察官の身を守るための各種資機材の整備状況はどのようになっているのか。また、第一線で苦労している警察官が安心して職務に当たれるよう、今後どのように資機材を充実・強化していくのか伺いたい。(警察本部長)

[ 以下、答弁内容 ]

森議員のご質問に順次お答えいたします。

>> 知事答弁
 はじめに、地方分権改革推進委員会の第1次勧告についてのお尋ねをいただきました。
 まず、第1次勧告の受け止めについてであります。今回の勧告は、くらしづくり分野などの重点行政分野において、県費負担教職員制度の見直しや幼保一元化など、具体的に問題提起をしたことや、基礎自治体である市町村の自治権の拡充に向け、都道府県から市町村への権限移譲が幅広い分野で提示された点は、一定の評価をすべきと考えております。
 しかしながら、国から都道府県への権限移譲については、一部の直轄国道や一級河川の権限移譲にとどまりますし、都道府県からの権限移譲についても、本県の市町村の実態を踏まえれば、町村への移譲項目が不十分であるなど、解決すべき大きな課題が残されているとも受け止めております。次に、今後の改革の推進に向けての本県の取組みでありますが、議員お話しのとおり、これまでの各省庁の改革に向けての対応は、省益を優先した極めて消極的なものであったと言わざるを得ません。今後、国の出先機関の見直しや税財政制度の改革などの重要課題が、第2次以降の勧告で予定されており、また、今回の勧告で先送りされた課題もございますので、各省庁の抵抗を排して改革を実効あるものとすることが大変重要であると認識しています。そこで、県といたしましては、まずは、市町村への権限移譲に積極的に取り組むとともに、全国知事会や、神奈川県地方分権改革推進会議と緊密に連携し、地方の自主性・自立性を高める真の地方分権改革を実現するために、不退転の決意を持って、国に対し強く働きかけを行ってまいります。

>> 質問要旨
1 知事の政治姿勢について (1) 地方分権改革の基本的な考え方について
イ 地方分権改革推進委員会の第1次勧告では、都道府県の処理する権限のうち359事務を市町村に移譲すべきという内容が盛り込まれている。一方で、今後も積極的に条例による事務処理特例制度による権限移譲を推進していくことが求められている。本県では権限移譲を進めているが、4月1日現在の事務処理特例制度の活用状況は、法律数でみると全国10番目である。そこで、こうした本県の現状について、どのように認識しているのか、また、市町村への権限移譲について、第1次勧告を踏まえ、どのような点を課題と捉え、今後どのように市町村への権限移譲を推進していこうと考えているのか併せて伺いたい。

>> 知事答弁
 次に、本県における権限移譲の現状に対する認識などについてのお尋ねをいただきました。本県では、住民に身近な市町村が地域の課題に、主体的・総合的に取り組めるよう、かねてより個別の権限移譲に積極的に取り組むとともに、平成18年度からは、チャレンジ市町村制度による包括的な権限移譲を開始するなど、独自の取組を進めてまいりました。こうした取組により、現在の本県の権限移譲は、1,100事務に至っており、今回、勧告された359事務のうち122事務について既に移譲しているほか、勧告にはない事務も、978事務を移譲している状況であります。その上で、地域主権型社会において市町村の担うべき役割を考えますと、権限移譲のより一層の推進が必要であると認識しております。今回の勧告では、町村への権限移譲が限定的なものとなっておりますが、全国的に見れば、行財政基盤の強い本県の町村の実情も踏まえた上で、勧告で示された権限を町村まで広げて積極的に移譲していくことが、神奈川における課題のひとつであると考えています。
 また、市町村がまちづくりなど、地域の課題に総合的に対応できるよう、勧告に示された権限にとらわれることなく、より多くの関連する権限を、包括的に担っていただくことが、住民の皆様にとっても望ましいことから、チャレンジ市町村制度のさらなる推進も課題であると考えています。これらの課題に対応するためには、市町村と協調した取組が不可欠でありますので、今後の権限移譲の推進について、既存の事務レベルでの協議に加えまして、今回の勧告を契機に、私と市町村長とが、直接、協議する場を設けるべく準備を進めているところであります。

>> 質問要旨
1 知事の政治姿勢について
(2) 「自治基本条例(仮称)」について
ア 「神奈川県自治基本条例検討懇話会」には住民や県議会議員が参加していない。この条例は、「議会の責務」を定める部分があるにもかかわらず、知事が委員を選び、設置した懇話会で検討し、知事が報告を受ける、という方法そのものに疑問を抱く。「条例第二次素案」は同検討懇話会の報告書を根底に整理したことは明らかで、恣意的な整理が行われたことは驚きである。こうした手法を容認すれば、二元代表制の実は失われてしまうのではないかと危惧する。そこで、自治基本条例の制定に向けてどのような経緯で、条例検討懇話会が置かれることとなったのか、また、懇話会の報告書を踏まえて、現段階では「条例第二次素案」ということになっているようであるが、この素案について、どのように評価しているのか伺いたい。

>> 知事答弁
 次に、「神奈川県/自治基本条例/検討懇話会」設置の経緯と、条例第二次素案に対する私自身の評価についてのお尋ねをいただきました。自治基本条例は、地方分権改革が進展する中、住民自治の視点に立った県政を一層推進するために、県政運営の基本理念、基本原則などを規定しようとするものであります。この自治基本条例については、都道府県での前例がないことから、まずは議論に供する素材を作成することが不可欠と考え、その趣旨を議会の皆様にご報告の上で、平成17年10月に学識者などから成る懇話会を設置し、検討をお願いしたところであります。その後、平成18年11月に懇話会から私あてに報告書が提出され、同年12月定例会総務企画常任委員会にご報告させていただきました。その上で、地方分権フォーラムや市町村との意見交換会などを開催し、お寄せいただいた多くの貴重なご意見を踏まえまして、昨年10月に条例第一次素案を、また、本年2月には第二次素案を作成いたしました。議会の皆様には、その都度、ご報告をし、ご意見を伺い、素案づくりを進めてきたところであります。次に、条例第二次素案についての私自身の評価でありますが、1年有余にわたる県民参加や市町村参加、さらには、議会の皆様との議論を十分に踏まえたものでありますので、条例案に向けての熟度は内容的にかなり高まったものと受け止めております。しかしながら、議会に関する内容など、なお議論を深める必要がある重要な論点が残されておりますので、今後も、議会の皆様や県民の皆様などから、ご意見をいただきながら、条例提案に向けて、さらに検討を進めてまいります。

>> 質問要旨
1 知事の政治姿勢について (2) 「自治基本条例(仮称)」について
イ 県議会が自律的に定めるべき「議会の責務」や権限に関わる事項について、知事の設置した懇話会が示した枠組みに沿って整理することは、地方自治の本質に関わる配慮を欠くし、また憲法や地方自治法が原則としている団体自治や住民自治の制度的な保障を代表民主制に求め、首長と議員を住民の直接選挙によるとしていることからも十分な配慮が必要である。そこで、知事は、日頃から地方自治のあり方や将来について意見を開陳しているが、これから制定しようとしている自治基本条例の根幹に関わる問題として、地方分権改革を見据えて、現在の地方自治制度、特に、二元代表制についてどのように考えているのか、県政運営に責任のある立場にある知事としての考えを伺いたい。

>> 知事答弁
 次に、自治基本条例との関係で現在の地方自治制度、特に二元代表制に関しての私の考え方について、お尋ねがございました。地方自治体では、「議会」を構成する議員と「首長」の双方を、県民の皆様が直接選挙で選ぶ二元代表制を採っております。この二元代表制のもと、「議会」と「首長」は、それぞれ権限と役割が明確に区分されており、相互のけん制と調和によって、公正な県政の運営が期待されているところであります。  一方、地方分権改革の進展に伴い、県民生活に関わる様々な権限や財源が国から県へ移譲されてきており、県民の皆様の県政への関心も、ますます高まってまいりますので、今後の県政は、これまで以上に県民の皆様が主体となった運営が求められてまいります。そこで、「議会」と「首長」は、こうした流れをしっかりと受け止めて、それぞれの責務や役割を果たしていくことが必要でございます。そのためにも、「議会」と「首長」の総意として、県民が主体となった県政運営の理念や原則などを盛り込んだ自治の基本ルールを、県民の皆様に明示することが何より重要であると考えています。このような考え方によりまして、現在、この基本ルールを自治基本条例として検討しているところでありますが、私といたしましては、この条例を議会の皆様と協働で作り上げ、二元代表制のもと、議会の皆様とともに協力しながら県政を運営してまいりたいと考えております。

>> 質問要旨
3 羽田空港の再拡張・国際化の推進について
(1) 国土交通省は、「首都圏空港における国際航空機能拡充プラン」で、羽田空港の再拡張で導入される国際便を大幅に増やすなどの方針を表明した。国際経済競争が激化する中、我が国が生き残っていくためには、首都圏の空港機能の強化は不可欠である。羽田空港の国際化を大きく前進させる舵を国土交通省が切ったことは大英断であった。そこで、国土交通省が発表した今回の「首都圏空港における国際航空機能拡充プラン」について、どのように受け止めているのか、また、羽田空港の再拡張・国際化の推進に向けて、リーダーシップを発揮していくことが必要であると思うが、どのように取り組んでいくのか併せて伺いたい。

>> 知事答弁
 次に、羽田空港の国際化に関連して、まず、「首都圏空港における国際航空機能拡充プラン」の受け止めと、羽田空港の再拡張・国際化にどう取り組んでいくのか、とのお尋ねがございました。今回発表されたプランでは、羽田空港からの就航距離について、大幅に緩和しておりまして、従前、昼間の時間帯では2千キロとされていたものを、北京、香港まで就航可能とし、さらに、深夜早朝時間帯の前後2時間を活用して、欧米などへの国際定期便を就航させるとしております。
 また、2010年の供用開始から、これまで3万回としてきた国際定期便を、昼夜合わせて倍増となる6万回就航させるなど、我が国が国際競争に勝ち抜いていくために必要な、首都圏空港の国際空港機能を強化する内容となっており、羽田空港の国際空港化を目指す本県としては、一定の評価ができるものであります。したがいまして、このプランを着実に推進していただきたいと考えておりますが、利用客のさらなる利便性向上のためには、昼間の時間帯における国際線の一層の充実や、深夜早朝時間帯における、移動手段確保のための公共交通機関の導入などが、必要となってくると考えています。
 さらに、早期に神奈川口の連絡道路を整備して、新たな交流・産業拠点を形成することや、羽田と成田をリニアモーターカーなどの超高速交通手段で結び、両空港の一体的・有機的な運用を図ることなども、重要になってくると考えています。こうした課題を解決するためには、県、横浜市、川崎市の連携が不可欠でございます。本県では、これまでも三首長共同での国への要望活動や、国土交通省と神奈川三団体による意見交換会の開催、さらに、羽田空港の国際化に関するフォーラムの開催などを行ってきたところであります。今後とも、羽田空港の国際化が望ましい形で実現されるよう、横浜市、川崎市と連携をしながら、本県が先頭に立って、取組みを進めてまいります。

>> 質問要旨
3 羽田空港の再拡張・国際化の推進について (2) 知事が国土交通省に提案活動をした際の記者会見で、「羽田を拡張すればするほど、騒音の問題にあたる。羽田をどんどん大きくするのであれば、当然、騒音の問題を自分たちも受け入れるという覚悟を持って進めていかなければならない」と発言したとの報道があった。本年9月には横田空域の一部が返還され、また、羽田空港の再拡張により、航空機の発着回数が増大することになれば、騒音の問題がどうなるかは大変大きな問題である。そこで、この騒音問題について、どのように考えているのか伺いたい。

>> 知事答弁
 次に、羽田空港の再拡張に伴う騒音問題についての、お尋ねをいただきました。羽田空港の再拡張後の昼間の時間帯における総発着数は、40.7万回とされておりますが、その飛行ルートは、様々な議論を経て、平成16年5月、既に国と首都圏八都県市の間で、合意に至っております。この合意では、昼間の時間帯の従来のルートに加えて、「神奈川ルート」「神奈川・都心北上ルート」が新たに設定されていますが、両ルートを飛行する比率は全体の2%程度であり、また、その高度は1,500m以上で、騒音の大きさは、普通の会話レベルと想定されております。さらに、深夜早朝時間帯は、従前より飛行ルートを東京湾内に限定するという措置が取られております。今回発表された国のプランにおきましても、国際線機能が一層充実されますが、昼間・深夜早朝時間帯の飛行ルートについては変更しないこととしており、羽田空港の再拡張後の騒音に関しては、大きな影響は出ないものと考えています。しかしながら、羽田空港の再拡張を行ったとしましても、概ね10年後には、羽田、成田の首都圏の空港容量は、再び限界を迎えることが予想されており、国は、容量拡大に向けて検討を行うとしております。この拡大にあたり、国は騒音問題等に留意するとしておりますが、状況によりましては、本県におきましても、関係自治体や、県民の皆様のご理解をいただきながら、騒音問題等への対応を改めて検討しなければならない場合も生じてくるかと考えております。

>> 質問要旨
4 食の安全・安心に係る推進方策について
 国では、消費者庁構想や食品表示を一元化した法律の制定など、食の安全・安心の枠組みを超えた仕組みづくりが検討されている。昨年、県が実施した「食に関する意識調査」では、90%の県民が「食品について不安を感じる」と回答している。その後の事件の発生によって、さらに多くの県民が不安に思っているのではないかと思う。実際に、食の安全・安心に関する県の取組みの充実強化を求める大規模な署名活動が行われていると聞いており、食の安全・安心の確保に対して、多くの県民が新たな取組みを求めているものと確信している。そこで、我が会派としても、食の安全・安心の条例制定の必要性について、かねてから検討しているところであるが、昨今の状況から、県の施策として条例制定に取り組むべきと考えるが見解を伺いたい。

>> 知事答弁
 次に、食の安全・安心に関する条例の制定に取り組むべき、とのお尋ねがございました。食は、人の健康と深く関わり、日常生活の基本となることから、食品の安全性を確保し、県民の食に対する信頼を高めていくことは、大変重要な課題であると認識しております。そのため、県では、平成15年に、生産から消費に至る食の安全・安心を確保するため「神奈川県食の安全・安心推進会議」を設置し、毎年度具体的な事業を「かながわ食の安全・安心の取組み」として取りまとめ、消費者の食に対する不安解消に努めています。また、中国産冷凍ギョウザによる健康被害事例などを契機に、今年度は食に対する県民の安心感の確保に向け、継続的に実施していく県の取組みを示すため、複数年度にわたる「指針」の策定に取組み始めたところであります。しかし、食の安全・安心を脅かす問題が現在も後を絶たず、県民の食に対する根強い不安感があることも事実であります。こうした県民の不安感を解消するためには、指針の策定に加えまして、ゆるぎない県の方針を明確にするだけではなく、それを実現する具体的で実効性のある仕組みを、しっかりと創っていくことが必要と考えています。そこで、今後の取組みといたしましては、幅広くご意見をいただくため外部の有識者や関係団体、消費者の方々からなる委員会を設置し、議論を深めながら、食の安全・安心の確保に万全を期すために、条例の制定に向けた検討を進めてまいります。

>> 質問要旨
5 大規模地震対策について
(1) 四川大地震の教訓として、避難所の重要性はもとより、避難生活をしている方々への水や電気、トイレ等の供給の重要性を読み取るべきである。本県では、公的施設を中心に避難所を指定しているが、大規模地震発生により、施設自体が使用不能となることは少ないものと考える。しかし、避難所自体が無事であっても、避難所としての機能を十分に発揮するためには、電気や水道、ガスなどのライフラインやトイレなどの機能が維持されていなければならない。そこで、被災者が集まる避難所において、万が一、電気や水道、ガス、さらにトイレの供給や使用ができなくなった場合、県として、避難所の機能を確保するために、どのように取り組もうとしているのか伺いたい。

>> 知事答弁
 次に、大規模地震対策についてお尋ねがありました。
 まず、ライフライン途絶時における避難所機能の確保についてであります。避難所の設置・運営につきましては、第一義的に市町村が行うこととなっており、県は、広域的な立場から、総合調整を行う役割を担っております。具体的には、停電の際の応急的な対応でございますが、市町村では、発電機や投光機を備蓄し、避難所の照明など、必要な電気を確保することとしておりますが、県においても、総合防災センター等に、発電機等を備蓄し、必要に応じて被災市町村に貸出すこととしております。水につきましても、まずは、市町村が給水車などを使って住民への応急給水活動にあたることになります。
 また、県営水道の給水区域にあっては、県企業庁が、災害用指定配水池に確保している飲料水を使って、応急給水の支援を行うなど、市町との協力体制を整えております。  次にガスでありますが、県や市町村と「神奈川県エルピーガス協会」との間で、災害時におけるLPガスの調達に関する協定を締結しており、避難所の炊き出しなどの応急燃料として、LPガスを調達することになります。
 最後に、トイレでありますが、市町村では、避難所の仮設トイレとして、簡易型の組立てトイレや使い捨て型の携帯トイレ等を備蓄しております。さらに、市町村の備蓄だけで足りない場合は、市町村からの要請に応じて、県の備蓄分を提供するとともに、県が災害時の協定を締結している他の都道府県などから調達いたします。県といたしましては、万が一、大規模災害が発生し、ライフラインが途絶した場合に、避難所における円滑な応急活動ができるよう、今後とも、防災訓練などを通じて、市町村や関係機関との、一層の連携強化に努めてまいります。

>> 質問要旨
5 大規模地震対策について
(2) 四川大地震では、四川省内だけでも、倒壊した学校の校舎は約7千棟といわれ、多くの児童・生徒の命が失われた。文部科学省の調査では、本県市町村の公立小中学校の耐震化率は全国1位であったが、公立高校の耐震化率は全国平均を下回っている。大規模地震発生の切迫性が言われている本県の県立高校の耐震化対策が未だ終了していないことは重大な問題である。「まなびや計画」は10年間で、耐震化対策・老朽化対策を進めるものであるが、もっと耐震化対策を前倒しして、早期に耐震化対策を終了するように見直しが必要である。そこで、計画の見直しを含め今後どのように県立高校の耐震化を進めていこうとしているのか伺いたい。

>> 答弁要旨
県立高校の耐震化についてのお尋ねがございました。県教育委員会では、県立高校の耐震化につきましては、生徒の安全確保を第一に、生徒が一日の大半を過ごす校舎棟の大規模補強を優先して取り組んでまいりました。これまでに特別支援学校や、県西部を中心とした地震防災対策強化地域内にある高校の校舎棟につきましては、耐震化対策に着手し、ほぼ整備を完了させたところでございます。
 また、耐震化対策や老朽化対策を一層推進するため、平成18年度に、新たに「まなびや計画」を策定し、平成19年度から計画的に施設整備に取り組み始めたところでございます。こうした中、今年5月に中国四川省で大地震が発生し、多くの学校で校舎が倒壊し、児童・生徒の尊い命が多数失われ、さらに、6月14日には岩手・宮城内陸地震が発生し、大きな被害をもたらし、生徒や保護者の方々の県立高校の耐震性を危惧する声が強まっております。本県でも、東海地震を始めとする大規模地震が危惧されておりますことから、次代を担う高校生の安全を確保し、生徒や保護者の方々に安心していただくためにも、少しでも早く、多くの高校の耐震化を進めていかなければならないと考えております。県教育委員会といたしましては、これまでも危険性の高い校舎棟の耐震化を優先的に行ってまいりましたが、さらに耐震化対策を前倒しできるよう、まなびや計画の中で見直しを行い、できるだけ早期に、大規模補強を必要とする全ての高校の耐震化を進めてまいりたいと考えております。そのため、施工方法の工夫や工事期間の短縮など効率的な整備手法の導入などの工夫を行い、早急に高校の耐震化を進めてまいります。

>> 質問要旨
5 大規模地震対策について
(3) 災害発生時には、県は、被災の状況や応急対策の状況などの情報を、マスコミや県のホームページを活用して、広く県民に伝達することとし、市町村は、防災行政無線の同報無線や広報車などを使用するとともに、地域のコミュニティーFMなどを活用して、避難所の状況など地域に密着した情報を提供すると聞いている。県内のコミュニティーFM局や県全域をカバーするFM局が連携し、情報を共有する体制を整えておけば、災害時には各地域の情報が県内どこでも得られる。そこで、県は、地域に身近なコミュニティーFM局の特性を活かすため、地域FM局の有効な活用方策を検討し、県域をカバーするFM局との連携を図りながら災害発生時における県民への情報伝達の仕組みを整えるべきと考えるが見解を伺いたい。

>> 答弁要旨
 次に、災害時の情報伝達の仕組みについてのお尋ねがありました。大規模災害が発生した場合に、被災地住民をはじめとした県民の方々の混乱を防止し、適切な行動をとっていただくためには、正確な情報を迅速に提供することが、大変、重要であると認識しております。議員お話しのとおり、コミュニティーFM局は、放送エリアは限定されますが、その反面、きめ細かな情報が提供できるという利点があります。このことを踏まえ、現在、県内15の市町では、各地域を放送エリアとするコミュニティーFM局と災害時における緊急放送に関する協定を締結し、災害発生時には、地域住民に対し被害状況や救援救護などの詳しい情報を伝達することになっております。
 また、県では、広く県民の方々に対し情報を提供するため、県域を放送エリアとするNHK横浜放送局やテレビ神奈川などをはじめとしたラジオ局やテレビ局、さらには新聞社など20社と、災害時における放送や報道に関する協定を締結し、県民への迅速な情報伝達体制を構築しております。これらの情報伝達体制に加え、様々なニーズに対応できるよう、市町村、コミュニティーFM局、そして県域をカバーするFM局の連携による情報伝達の仕組みを整えることも有意義と考えますが、地域に密着した膨大な情報を、どのように迅速かつ正確に伝達するのかなどの課題もございます。
 そこで、今後、それぞれのご意見を伺いながら、効果的な情報伝達の仕組みについて、研究をしてまいりたいと考えています。

>> 質問要旨
6 環境問題について
(1)本県では、「2010年までに県内のCO2の排出量を京都議定書の基準年1990年の水準までに抑える」との目標を立てているが、現時点で目標達成は厳しい。着実な温室効果ガスの削減を図るためには、県民や企業を巻き込みながら、県としても早急に、より実効性のある対策を実施することが必要である。そこで、現在検討している「地球温暖化対策推進条例(仮称)」にもそうした実効性のある対策を盛り込む必要があると考えるが、条例の検討状況とともに見解を伺いたい。

>> 答弁要旨
 次に、環境問題について3点、お尋ねがございました。最初に、地球温暖化対策推進条例についてのご質問であります。
 まず、条例の検討状況でありますが、学識者・県民代表等で構成される検討委員会を中心に検討を進め、その中で、県民意見募集や県民集会も行い、多くの県民の皆様から様々なご意見をいただきました。検討委員会の議論もまとめの段階に来ていると聞いております。今後は、委員会の最終案をいただいた後、県としての骨子案をとりまとめ、本年度内の条例制定をめざして、さらに幅広く意見を伺ってまいります。
 次に、条例に実効性のある対策を盛り込むべきとのお尋ねについてです。地球温暖化問題は、全ての主体が被害者であると同時に加害者でもあります。幅広い主体に責務や役割を規定し、実効性ある取組を求めていくことが大変重要であると認識しています。委員会においても、例えば、大規模排出事業者に対して、何らかの計画の提出を義務づけ、対策を求める提案があると承知しております。一方、県民生活に関わる分野のように、条例で義務づけるよりも、条例を踏まえた施策も含めて、全体として実効性を確保していくことがふさわしいものもあると考えています。本県には、世界をリードする技術や研究開発機能の集積がございます。今後地球温暖化対策を進めるにあたっては、こうした優位性を活かして、世界に貢献する視点も大切と考えております。今後、こうした視点も踏まえつつ、本県にふさわしい実効性のある条例としてまいります。

>> 質問要旨
6 環境問題について
(2)「クールネッサンス宣言」を具体化させるためのリーディング・プロジェクトの県庁エコ化プロジェクトでは、県庁舎の屋上への太陽光発電システムの設置や県有施設の電球形蛍光灯への切り替えなどの取組みが示されている。県の率先実行の取組みを、さらに効果的にPRしていくことで、県民のエコ活動に弾みがつく。そこで、県の率先実行としての地球温暖化対策の取組状況について伺うとともに、どのように県民に対して効果的なPRをしていくのか見解を伺いたい。

>> 答弁要旨
 次に、地球温暖化対策における県の率先実行と県民へのPRについてお尋をいただきました。県民の皆さんに、脱地球温暖化の実践を呼びかけるためには、まず、県自ら率先垂範していく必要があると考え、クールネッサンス宣言においても、その思いを込めて、リーディング・プロジェクトの第一に、県庁からの率先実行を位置づけたところであります。率先実行といたしましては、太陽光発電システムの設置については、来年3月の稼動に向け、現在、設計中であり、県庁舎の白熱球については、可能なものは、ほぼ電球形蛍光灯へ交換をいたしました。電気自動車につきましては、実証実験を兼ねて公用車として活用しており、私自身も月一回登庁に使用しております。
 また、家庭用燃料電池システムを知事公舎へ導入するなど、幅広い取組を全庁あげて推進しているところであります。議員お話のように、県民の皆さんに地球温暖化問題の理解と協力を求める上では、こうした県自らの取組を活用していくことは、大変重要と考えます。今後、太陽光発電システムを県庁新庁舎等に設置する際には、発電量などを示すモニターを設置して、県民の皆さんに自然エネルギーへの関心を高めてもらったり、県で使用している電気自動車を、イベントで展示したり来場者に試乗していただくなどの工夫を一層進めてまいりたいと思います。温暖化防止の取組はスタートしたばかりであります。白熱球から電球型蛍光灯へ取替えようというキャンペーンでは、私自身も街頭に立って、照明を変えることの大切さをPRさせていただきましたが、今後も、脱温暖化社会かながわを目指し、県としての率先実行など実践例をお示ししながら、県民の皆さん一人ひとりに具体的な取組として呼びかけてまいります。

>> 質問要旨
6 環境問題について
(3)  自力で地球温暖化対策や環境対策の研究などに取り組める大企業に比較して、人材や設備等の経営資源が不足している中小企業への支援は県としての重要な責務である。地球温暖化対策や環境対策は中小企業に負担を強いるが、新たな環境技術分野のビジネスが創出されるチャンスでもある。環境負荷の少ない生産技術や、水処理技術、廃棄物処理技術、リサイクル技術などの重要性は今後増加する。そこで、地球温暖化対策に限らずに、環境対策の研究や技術開発に取り組んでいる中小企業者への支援策を充実させることが重要と考えるが、県としてこれまでどのように取り組んできたのか、そして今後どのように取り組んでいくのか伺いたい。

>> 答弁要旨
 次に、環境対策の研究や技術開発に取り組んでいる中小企業への支援についての、お尋ねをいただきました。地球温暖化対策を始めとして、さまざまな環境対策への取組が求められる今日、国際的な環境規制への対応や、新たな環境技術の開発に取り組もうとする中小企業を後押しすることは重要なことであります。そこで、国際的な環境規制への対応でありますが、県産業技術センターでは、財団法人神奈川科学技術アカデミーや県内大学、中小企業など、産学公が連携して、環境負荷が大きい六価クロムを使用しない、めっき等の表面処理技術の開発や商品試作への技術支援を進めております。
 次に、新たな環境技術の開発への支援としては、燃料電池の製品化や廃棄物処理装置の開発等を行っている中小企業に対して、県産業技術センターが試験・計測等の技術支援を行っています。

 また、省エネルギー効果が大きい、植物栽培用LED照明器の開発など、環境に寄与する技術開発に取り組んでいる中小企業に対しても、県として助成を行っております。さらに、優れた技術や製品を表彰する神奈川工業技術開発大賞では「地域環境技術賞」を設けております。ここで入賞した技術や製品を、県内最大級の工業見本市である「テクニカルショウヨコハマ」に出展することなどによって、広く周知し、その普及を図っております。こうした取組に加えて、神奈川R&Dネットワーク構想の中で、本年度から新たに、電気自動車等の電力を効率よく制御するパワーエレクトロニクス技術や、リチウムイオン電池の性能を向上させる技術について、産学公共同研究を推進し、県内中小企業の事業化に繋げてまいります。今後とも、このような環境分野でモデルとなる取組を支援し、中小企業の国際的な環境規制への対応や、新たな環境ビジネスの創出を促進してまいります。私からの答弁は以上です。

>> 質問要旨
7 教育問題について
(1) 不登校やいじめといった深刻な問題を解決する一つの方法として、スポーツを通じた活動が有効である。スポーツは礼節や克己心、フェアプレーの精神を養い、仲間との触れ合いを通じて他者との協力関係を学ぶなど、心身両面で幅広い効用がある。できるだけ多くの子どもたちに、運動部活動への参加を促進し、児童・生徒の健やかな心身の育成を図り、子どもたちが明るく元気で楽しく過ごすことのできる学校をつくっていくことが求められている。そのためには子どもたちがいつでも気軽にスポーツに親しむことができるしくみを整えていくことが重要である。そこで、学校においてスポーツの振興を図るためには、運動部活動への参加を促進する必要があると思うが、県立高校においてはどのように取り組んでいこうとしているのか伺いたい。(教育長)

>> 答弁要旨
 次に、県立高校における運動部活動への参加促進について、お尋ねがございました。議員からもお話しがありましたように、成長過程にある生徒にとって、スポーツの持つ教育的効果は、大変大きなものがあります。そこで、教育委員会では、平成12年度から「運動部活動活性化推進事業」を展開し、部活動インストラクターや、部活動支援学生ボランティアの配置など、生徒の部活動への参加促進を図ってきたところでございます。この取組みを進めるために、昨年度「かながわ部活ドリームプラン21」を策定し、生徒の多様なニーズに応えられる、魅力的な部活動づくりのため、様々な事業を展開していくことといたしました。
 具体的には、まず、「かながわ部活ドリーム大賞」を設け、運動部活動の活性化に貢献した学校や、マネージャーなど、部活動を献身的に支えた生徒などに対しまして、その功績や努力の成果を表彰いたしました。
 また、「かながわ部活ドリーム講習会」を開催し、優れた指導者やトップアスリートの豊かな経験に基づく講話などによりまして、部活動顧問の意識改革や指導力の向上を図るとともに、生徒のスポーツへの興味・関心を高める機会といたしました。さらに、今年度は、すべての県立高校において、「かながわ部活の日」を設定しまして、部活動への加入をアピールするイベントや、中学生が高校で部活動を体験できる機会を設けるなど、各学校の特色に応じた取組みを行いまして、魅力的な部活動づくりを進めることといたしております。今後とも、こうした取組みを着実に推進することによりまして、引き続き、運動部活動への参加を促進し、スポーツを通して、心身ともに健康で、たくましい子どもたちの育成を図ってまいります。

>> 質問要旨
7 教育問題について
(2) スポーツの世界と同様に教育、特に学校教育にも優れた指導者が不可欠である。教職員には、教育に対する情熱はもとより、これまで以上に幅広い視野を持ち、変化に柔軟に対応できる力とともに、豊かな社会性や人間性なども備えた「総合的な人間力」といったようなものが求められている。学校や教職員の役割とは、児童・生徒が学校生活の中に楽しみややりがいを見いだし、それをきっかけに自分の個性や能力を伸ばしていけるよう支援することである。そこで、教職員が「総合的な人間力」を高めるとともに、それぞれが持つ個性や専門的な能力を、さらに伸ばすことによって、子どもたちから信頼され、学校現場で力を十分発揮することが大切だと考えるが、教職員の人材育成についてどのように取り組んでいくのか伺いたい。(教育長)

>> 答弁要旨
 最後に、教職員の人材育成について、お尋ねがありました。県教育委員会では、教職員の大量退職時代を迎える中で、高い指導力と意欲をもつ人材の確保・育成は最も重要な課題の一つと考えまして、昨年10月に「教職員人材確保・育成基本計画」を策定いたしました。計画では、「人格的資質・情熱」を備え「課題解決力」と「授業力」を持った人材を「めざすべき教職員像」といたしまして、この教職員像を実現するため、「多様で優秀な教職員の確保」と「指導力の高い教職員の育成」を2本柱として、様々な施策を位置づけております。この計画に沿って取組みを進めることが、議員からのお話がありました教職員の「総合的な人間力」を高めることにつながるものと考えております。
 また、教職員の個性や専門的な能力を育成し、活用することにつきましても、人材育成における重要な視点と考え、取組みを進めております。具体的には、授業実践に優れた教職員を表彰する制度を導入しまして、受賞者に公開授業や研修の講師を行ってもらい、優れた学習指導力の普及や若手教員の授業力などの向上を図っております。さらに、今年度からは、従来の大学院派遣に加えまして、中核となる教職員を、 カリキュラム開発や学校経営などの今日的な教育課題を研究させるため「教職大学院」へ派遣し、教職員の専門的な能力を高める施策の充実にも取り組んでいるところでございます。
 また、人事異動の面でも公募制を導入しまして、教職員の自主性や意欲の向上を図るとともに、学習活動や部活動に教職員の専門性を、より発揮できるよう努めております。今後は、「教職員人材確保・育成基本計画」に位置づけた施策を着実に推進するとともに、カウンセリングや教育におけるキャリア教育といった専門性をより高めるため、これからの学校現場に必要とする、そうした能力も育成してまいりたいと考えております。以上です。

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